スイスの山の事故と廻り合わせと
スイスの 旅から戻ってもう1ヶ月が過ぎたがまだ記憶が廻っている。
スイスからの報道も気になって見ていると今年の7月はアルプスの山の事故がとりわけ多かったようだ。7月3日にはツェルマットの北東30kmほどのところにあるLagginhorn(4010m)で頂上から下山中のドイツ人登山者5人が数百メートル滑落して死亡している。そのうち2人は山頂までの登山をあきらめて途中で待っていた父親の目の前で滑落した14歳の娘と20歳の息子だったという。5人はザイルでつながれていた。今年スイスアルプスで起こった最悪の事故とBBCは報じている。翌4日にはマッターホルンのマッターホルン・グレッシャー・パラダイス(クライン・マッターホルン)からスノボで滑り降りたコスタリカからの旅行者がコースを外れクレバスに落ちて死亡した。5日にはアイガー登頂後下山中の2人のスペイン人登山者が落下して死亡した。更に11日、モンブラン山系のモンモディに登山中の28人のパーティーが雪崩に遭遇し内9名が死亡した。更に24日にはモンブランでウイングスーツを着て崖からジャンプしていたノルウエー人のパラシュートが開かず墜落死するという事故が発生している。おまけに 25日、試験飛行中のヘリが墜落し6名が死亡する事故もモンブランの南100kmほどのAlpes-de-Haute-Provenceで起こっている。散々な状態だが天候が悪かったのは雪崩事故のみで後はそれほど悪いという状況でもなかった。多くの人が気楽に登るようになったのが結局のところ原因らしい。外国からの訪問者の事故 というのがキーワードのようだ。
なんとなく感じが分かる。日常性からの離脱がそれほどの無理をしなくても手に入る時代になってきている。こんな事故は増えていくだろう。とりあえずはwingsuitsはモンブランエリアで禁止された。日本のように行政のおせっかいが手厚く個人の判断に入り込んでくるようになるかもしれない。思えば日本は都市部のすぐそばに雪山や岩壁や渓谷があってずっと以前からこんな問題に頭を悩ませてきた、冒険がすぐそばにあった。日本は幾つかの切り口で世界の先頭にいる、エッジにいる。デフレがあり原発事故があり老齢化があり 最近はそれ明らかに増えてきている、次第にその意識がかえって日本を支えるようになっている気がしている、良かれ悪しかれ手本となり研究される対象となる日本。先頭を走る日本。暫くはその役目を担わなければいけない、それが廻り合わせというものだろう。
次は何が起こってくるだろうか、この地から。
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