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2012年9月21日 (金)

箱庭のような富士山にて

もう10年くらい富士山周辺に行っていないと思いついて山中湖の保養所へ出かけてみた。3連休で宇都宮から都心を通っていくのはいかにも混みそうなので まだ白岡と北本の間がつながっていないが東北道から圏央道へ渡っていくルートを走ることにする。つながっていない下道の部分は30分程度でそう混んでもいない。圏央道は八王子に近づくにつれて渋滞となる。中央道の小仏トンネル辺りの渋滞が圏央道のジャンクションまで伸びてきてどうにも動かなくなってしまっていた。どうしようもない。東京の混雑にここで出くわした思いだ。確かに東京から遊びに行くには富士山エリアは中央高速で一本だ。日光などと違い子供向けの遊び場も多い。混むわけだ。久し振りの渋滞で忘れていた東京からの行楽地へ向かう土曜日の混雑を思い起こしていた、随分昔から土曜日といえば放射状に出て行く道路は都心から渋滞していた、時は経ってもその光景は変わらない、何しろ人が多い。結局予定から1時間遅れの到着となってしまう。
天気は予想通り、雨にはならないが雲が2000mくらいから上を覆っていて富士山はその姿を殆ど見せない。五合目駐車場は2時間待ちとスバルラインの入り口で知らされるが五合目の手前の奥庭なら停められるらしい、ともかく奥庭に行ってみることにする。野鳥が集まる場所と聞いたことがある。奥庭の手前で雲底に達し雲の中だ、見通しが悪い、しかし山歩きには問題なさそうだ。駐車場は待つこともなく停められて、歩き始める。様子が分からないので重いスコープは置いていく。300mほど下りの石畳を歩くと茶屋があってその横にカメラの砲列が見えてくる。そばに行って聞いてみると小さな水溜りに野鳥が飛来するので待っているところだという、ホシガラスも結構現れるらしい。「小さな池」とネットにでていたのを思い出すが、Okuniwa7 水溜りというほうが正しい、思いの外小さい。撮影の場所取りも楽でもないようだ。しかし立派な高そうな望遠が並ぶ。デジスコは少数派だ、やはり時代は超望遠一眼に移っているようだ。少し待ってみるが何も来ないので遊歩道を周回してみる。コメツガやシラビソが盆栽とまではないが小さくなっていて確かに日本庭園のように見える、なかなかいい場所だ、どうやらこの辺りは古い火口らしい。簡単な食事をとって歩いていると鳥の姿が時々現れる、遠くて判別は難しい。そのうち先を行っていた連れから変わった鳥がいたとある、行ってみるがもういない、聞くとホシガラスのようだ、やや進むとシルエットが動くのが見える、そのようだがしかとはわからない。森林限界の直ぐ下で確かOkuniwa3 に野鳥が色々飛び回るエリアのようだ。また最初の水たまりに戻るとホシガラスが来て行ってしまったところだという、少しばかりボルテージが上がっている、その内ヒガラが飛来して水浴びを始める。何だヒガラかという雰囲気はなく一斉にシャッターが下りる。ずっと一日こうして見つめて待っているようだ。ちょっと付き合えない感じがしてこの場を去る。富士山の広大な自然と小さな水溜りを囲むカメラの砲列がなんともアンバランスに思える。しかしいかにも東京の鳥見という感じもしてくる。東京には東京の流儀があるようだ。Hyoketsu33 富士山は東京の裏庭のようなところなのだろう。
山を下って鳴沢氷穴や忍野八海にも行ってみるが、何処か奥庭と似た印象がある、箱庭のようなところに多くの人が押し寄せる、それも古くからそのようだ。富士山のように広大なものに対してはミクロな楽しみ方を見つけてそこを楽しむ、江戸らしいやり方のように思えてくる。忍野八海には中国人の団体がやたら目に付く、尖閣めぐって騒ぎがあっている丁度その時だが観光客は普通に写真を撮り合ったりして楽しんでいる。平和な風景だ。

栃木であれ東京であれ中国であれ、流儀が少しばかり違っても、つながれる部分が殆どなのだろう、つながっていることを感じながら流儀の違いを楽しむ、それがアジアに生きるということなのだろう。富士山はそんなことも教えてくれるような気がしている。

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