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2012年10月 6日 (土)

新機体に新エンジン

新技術をふんだんに盛り込んだボーイング787が運行を始めておよそ1年近く過ぎたが このところ流れてくるニュースでは使われているGEエンジンの様子が少しばかりおかしい。

7月に機体につけて地上運転中のエンジンから異物が排出され滑走路脇の芝生を燃やすというトラブルがあった。納入前の機体だ。調べてみるとGEエンジン(GEnx)の中間シャフトが破損していた、原因はシャフトの表面コーティングに(環境に留意して)鉛の入った液を使わなくなってクラックがGenx 出やすくなったことにあるようだと分かった。8月にも別の機体のエンジンの同じ箇所でクラックが見つかり、コーティングを従来の方法に戻し、点検が強化された。9月に入って同じシリーズのエンジンをつけた747-8が上海で離陸中にエンジン1基の推力が出なくなり離陸を取り止めるトラブルが発生した。調べると今度は原因がまた異なり低圧ファンの組み立てに製造ミスがあった事が判明した。問題が次々に起こっている。技術的には解決はそう難しいことではなさそうだが続けて起こるのがよくない。

A380のロールスロイスのエンジンも飛行中に破裂するトラブルを昨年起こしており、787のロールスのエンジンも今年はじめギアボックスの腐食が見出されたりもして、GEだけがトラブルを起こしているわけではないが、エンジンの中核の部品だけに感じは良くない。
思えば747は原型機が1970年の運用開始後にエンジンの性能がでず航続距離が不足するトラブルに見舞われていた。

昔から新開発の機体に新エンジンは避けるべきといわれてきたが、現在では新型機の性能改善の多くを新しいエンジンに依存ているため、そうはいっても新機体に新エンジンの組み合わせが主流となっている、なんとか技術の進化で乗り越えられるという期待があるのだろう。しかしそうは簡単には行かないようだ。

787やA380の開発の混乱とその後のトラブルを見ていると要求に従って高性能の機体を以前と同じスケジュールで開発するやり方はもう限界に近づいているのではないかと思えてくる。A380では座席のエンターテイメントの組み付けが予想以上に複雑となったことが開発を遅らせたといわれる。要求の多元化で必要となる技術は べき乗で高度化・複雑化してきている。大きなシステムを一発で仕上げる航空機の開発はその手法が行き詰りつつあるように思える。逆には壁が高くなりこれを一気に乗り越える量子的ジャンプの出現するタイミングが近づいていると見ることも出来る。
どうなるだろうか、100年後を考えれば途方もないやり方で乗り越えて新たな展開を見せているだろうか。そこまでもみられない人の寿命というものを考えてしまう。

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