万里の長城での遭難とシンドラーと
中国の万里の長城で遭難事故があった同じ日に金沢のシンドラーエレベータ事故が報道された。それぞれ凡そ三年前の事故が繰返されているように見える。
万里の長城遭難事故はいわば気象の事故だ、微妙に予測が外れたところで起こっている。3年前のトムラウシ遭難事故もそうだった。トムラウシ事故は当時の気象予測でもそれほどまでに気象が悪化すると推定されたわけではなかった、ただ、こんな
日に行動するのか、という声は参加者から上がっていたといわれる、予報以上に悪化する兆しが現地では感じられていたように思う、しかし気象予報に引きずられた。今回の遭難事故も、現地付近の当時の予測データを見直してみると、標高700m付近では降水は殆どが雨で雨の終わり頃みぞれから雪に変わるという予報になる。低気圧がまずは南風を入れて雨を降らせ追って寒気が到来して雪となる図式だ。しかし実際には早くから雪になった、気温の下がり方が予想以上だった。それにしても降り始めは雨だが相当な降りだ、風も強い。冷たい雨だし1日降り続くことは少なくも予想されたはずだ。強い風に豪雨の歩行は辛い、連日の15kmのトレッキングを更に続行することには参加者は疑問を生じていたのではないかとも推測される、強がりはあったにせよだ。トムラウシも今回も気象の予測に頼りすぎている印象がある、予測が悪い方へ外れたらどうなるか、これを考えずに少々無理でも行動するというツアーを引っ張る立場の判断の危うさが感じられる。トムラウシの事故の反省が表面的に終わっていたのではないだろうか。気象予測は未来予測だ、本質的に限界がある。
シンドラーエレベータの事故も全く同じパターンだ。表面的には前回の事故への対応はなされている。しかし事故は繰返された。本質的は教訓を生かせていない、恐らく経営の姿勢に問題があるのだろう。
3年の時を経て事故が繰返される、3年という時に学ぶものがあるようだ。石の上にも3年ということだろうか、3年愚直に続けられれば体得できるということわざが言葉のアヤでなくリアリティーを放ってくるように思える。真実がそこにある。
それにしても同じ日に同じ傷を持つ二つの事故が起こってしまうという不思議さ、この同期にもなにか奥深い理由があるのかもしれない、人は知らないことが多すぎる。
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