« 対馬に行こうと | トップページ | 対馬をめぐる---その2 »

2013年5月14日 (火)

対馬をめぐる--その1

対馬に2泊3日で出かけた、対馬は難しい島だった。少々疲れた。

天気は旅程の半分の雨を覚悟していたが出発直前にはなか日の半日が雨 となんとかなりそうなところまできて、懸念は和らいでいた。南の高気圧が押し負けて雨域が南へずれてきた形だ、微妙な押し合いのこんな天気は直前まで当たりにくい。肝心の鳥のほうも ほとんど鳥が出ていないという対馬の野鳥のブログが気になっていてどんなことになるか不安だったが、起き掛けに知人から紹介された友人の友人というFさんからヤマショウビンが北ででているらしいとのメールが携帯に入って少し元気が出てくる。Fさんもまもなく対馬に入る。
Tusima
始発のANA便は40%くらいの乗客を乗せた737-500で仕事風の乗客が目立つ。平日の朝一便から遊びに行く人は少ない。上空に上がって巡航に入ったと思ったら直ぐにまたベルト着用で着陸態勢に入る、30分のフライトは短い。空港で 予約のレンタカーを受け取って直ぐに出発する、道が狭そうなのと島で大した距離でもないので軽にしていた、3日で1万円少しと安いのもいい。とりあえずヤマショウビンを目指して北の舟志(しゅうし)に向かう。
Saga2
佐賀というところまで来て一休みして出発しようとするとエンジンが掛からない、エンジンルームをざっと見るがやりようがない、しょうがないとレンタカー会社に電話すると代わりのク  ルマで向かう、1時間くらい待ってくれ、とくる。旅のはじめから幸先が悪い。まあこれも旅の一部だとあたりをぶらぶら散歩する、漁業の街だ、すぐに港に出る。こじんまりした街で、のんびり一回りしてもまだ時間が余る、様子を見ていたのか一人の男性が話しかけてくる、飛行機で来て1時間も棒に振るのではひどい話だ、と同情してくれて近くに神社があるのでそれでも見たら、と話しているが話の最中にやっとレンタSaga_2 カー屋が来て神社は行かずじまいだ、こんな風に転がっていく時間が旅らしい。バッテリーコードでつないで掛けるとエンジンが掛かった、なんだ電池切れか。確かに先ほど見たとき液が減っているようにも見えていた。バッテリーのメンテの悪い車を貸し出すとはひどいが謝りの言葉ひとつ無い。これが対馬流なのかと司馬遼太郎が「街道を行く」で書いている無愛想で乱暴なタクシーの話を思い起こす。そういう土地なのだろう、頭を下げて商売するのは苦手な土地なのだろう。そういえば走っていてもやたらせっつくクルマばかりだ。こちらは観光もかねているので制限速度くらいでゆったりと走りたいが、たいていのクルマはじれてきて不愉快そうに車間を詰めてくる、それがいやで止まって追い抜かせると程なく次のクルマが追いついて同じパターンが繰り返される。殆どが軽だがやさしくない。

道は次第に細くなってやっと離合できるくらいになる、やはり軽でよかった。もみじ公園というところをぬけていくが鳥の影は薄い。程なく舟志の森の学校に至る、このあたりが一つのポイントのはずだ。ヤマショウビンについて聞いてみるが、先ほど来た人にも聞かれたが見ていないとすげない。トイレを借りて出発しようとすると目の前の木の下が騒がしい、と思えばテンが2匹飛び出してくる。ツシマテンだ。対馬だけに居る天然記念物の動物だ。こげ茶色で動きが面白い。写真を撮るまもなくするすると左右に走り去ってしまった。こんなところで遭遇できるとは運がいい。あとツシマヤマネコも出てきてくれないか思うがそれもムシガ良すぎる。

ともかくヤマショウビンを求めて少し森の方へクルマを進めていくとオオルリの美しい声が響く。かなり近い様子で探すが姿は捉えられない、でも久し振りに聞いたいい声だ、しばらく聞Syousi き入る。森の学校で行き違ったヤマショウビンを探しているらしい大宮ナンバーのワンボックスも停まって聞いている。朝見た対馬の野鳥のブログではヒノキ林を背景にしていたのでこのあたりかと少し歩いてみたりするがいない。沢も無く餌も無さそうなので川のほうかと、森を下った河口に近い川べりに来てまた眺める。ダイサギがいるが他はいない。暫く時を過ごすが、佐護など他に周りたいところもあるので適当なところで切り上げる。あとでヤマネコセンターの方に聞いたら前日見たのはその川べりだったというから場所はあっていたようだがあちこち飛び回っているのだろう、難しい。
この日はこのあと佐護の水田あたりを歩いてみたりするがめぼしい鳥はいない。草の生いSago 茂った畑に草に埋もれるように出入りするカワラヒワやのんびりしたアマサギやカラスに追われるトビをみるばかりだ。ヤマネコセンターでツシマヤマネコを見た後鳥の状況について教えてもらうが特に上島では5月の連休とそれ以降殆ど鳥は出ていない今日も全くといっていいほど出ていないという。晴れた日があまりに続いたせいだろうか。明日の雨に却って期待してしまう。この日は通りすがりに対州馬を見たあとポイントといわれる田の浜を一応回って宿へ向かう、対州馬は小Taisyuuba 柄でがっちりしていていかにもこの島向きだ、それにしてもおとなしくて動きもしない、鳥のほうは話の通り何も出ない、走り回っているのは人間という島のようだ。
それにしても山ばかりの島だ、海辺の僅かな土地に集落が寄り添うようにある、そんな風景が繰返される。道も中央の国道以外は直ぐに細い山道になってしまう、魏志倭人伝の記述どおりだ、2000年近くたっても基本的に同じような生活となっているとの気がしてくる。しかし次々に現れる入り江Tusimaymnk はどれも美しい、ここに住むのも悪くないと思わせてしまう。歴史の渦中にあり続けたもののどこか取り残されたような不思議な島だ。明日からはどんな展開になるのか、鳥見は空振りなのだろうか、不安を抱えたまま宿の対馬グランドホテルで過ごす、いかにも旅らしい。
(続く)

|

« 対馬に行こうと | トップページ | 対馬をめぐる---その2 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 対馬をめぐる--その1:

« 対馬に行こうと | トップページ | 対馬をめぐる---その2 »