森の島屋久島へ行くーーその1
屋久島は一度は行かねばと思っていた場所だった。若い頃は宮之浦岳が九州で一番高い山ならそこは登っておかねばとの思いが先走っていたがいつの日からもう高さはどうでもよいと ピークを踏むことにさほど価値を感じなくなってきて興味は屋久杉とそれを含む自然全体へと移っていった。今週実現した2泊3日の屋久島への旅から帰ってきて長年の課題をやっと果たしたというよりその濃密さが体の中をぐるぐる回っている。景観というより頗る個人的な体験全体が強い印象を残した。
最初から書き留めておこうと思う。
屋久島へは福岡から日に1便ある日本エアーコミュータ(JAC)のサーブ340B(36人乗り)で飛んだ。自宅から空港まではクルマでいって空港近くの送迎付きパーキングに停める、1日800円だからタクシー往復の半分以下だし、随分気楽だ。SF340には海外で乗ったことがあるような気がしていたが空港のエプロンを歩いてタラップを上がり機内に
入ると初めての機体だった。1-2の3席配置の'1'の窓際に縦2席で座る、巡航高度が低いため(18,000ft位)地上の景色が良く見えて楽しい。
開門岳を過ぎると洋上には雲が無い、明瞭な梅雨明けだ。程なく晴れた屋久島空港に着く。空港の周りは森が支配しているようで森に埋もれるように幾つかの建物が見える。屋久島は森の島だ、改めて思い知らされる。
空港出口にレンタカー屋が迎えに来ていてそのまますぐそばの日産レンタに向かう。軽を予約していて対馬の不調な軽のようなことにならないかと懸念していたが出てきた車はモコの新車だった、走行距離はまだ2500kmだ、対馬のレンタカーより随分といいし対応もビジネスライクだ、やはり世界遺産の島だ観光客慣れしている。すらすら運んで予定よりやや早いペースでこの日の目的地ヤクス
ギランドに向けて出発する。14:20屋久島着ではいけるところは限られてしまう、この日はヤクスギランドの50分コースを回ることにしていた。広い道幅がやにわに細くなったりする道路を4-50分走って到着する、みやげもの店が1つと入り口ゲートがあるばかりだ、シンプルで感じがいい。出発地点でヤクシカが車のそばに現れる、随分とおとなしいし人を警戒していない、日光のシカとは大分違う。
ほとんどが板張りの良く作られた遊歩道を歩く、足慣らしには丁度いい。屋久島についに来たと屋久杉を眺めながら歩いていたのだが今から思い出そうとすると何処か印象が薄
い、随分前のことに思えてしまう、その後の縄文杉、白谷雲水峡の印象が強烈に残っているためだろうか。一回りした後、紀元杉という樹齢3000年といわれる杉も見てみる、複雑にもつれ合う造形、いかにも長い年月がその上にある。ヤクスギランドから紀元杉まではクルマで移動だが雨で土が流されるのだろうか車道の舗装が傷んでいて気を許すと道路の舗装の穴に落ちる。走りにくい。自然に圧倒される人間の営みをどうしても感じてしまう。森がすべてを支配している島だ。
宿は安房(あんぼう)のビジネスホテルのようなところだったが食事は凝っていてとびうおの飛んでいる姿の揚げものが出てきたりする、面白いしおいしい。翌日の登山バスの切符を受け取ったり弁当をお願いしたりして次の日の縄文杉登山に備える、ここ
まではいつもの旅の雰囲気だった。(続く)。
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