ツワブキから九州が解ってきて
庭のツワブキが綺麗に咲いている。あちこちでツワブキの黄色い花を見かける、これも福岡
へ戻ってきてみて目に付く景色だ。ツワブキは関東以西が生息域だが食用のツワブキの主産地は九州となっていることから、九州に昔から多いのだろう。津和野という名はツワブキからきているとも言われるので九州、山口が主ということかもしれない、とにかく南の植物だ。原産地は日本とも中国ともいわれ、非常に古くから日本にある植物でもある。
3日ほど前に紅葉を見に糸島の雷山千如寺に出かけた。福岡市周辺の紅葉の名所は大抵が庭園のようでここもそうだ。雷山は1000m弱の山でその山腹に千如寺がある。見頃、との情報で出かけたが山地に入っても木々は青々としていてとても紅葉の雰囲気はない。 標高350mの千如寺までくるとクルマが混んでいる。休日であれば近づけないくらい混むらしい、福岡市近郊の紅葉の名所となればこうならざるを得ないのだろう。寺の庭園にある巨大なカエデが紅葉見物の中心だが見ごろと言うにはやや早い。そうであっても半分以上は紅葉しているので十分綺麗だ。地面にはやはりツワブキがある、庭に良く合う花だ、全体が九州らしい景観といっていい。
千如寺の開祖は聖武天皇がインドから招いた清賀上人とさ れる。油山観音も同じ清賀上人とされており、実在したかどうかは別にしてその様な時期に渡来僧が次々に寺を開いたということは事実なのだろう。千手
観音立像と清賀上人木像が重要文化財に指定されて遺されていていずれも鎌倉時代から室町時代にかけて製作されたものとされているが遺されたものに歴史の古さはあまり感じない。
歴史的には古い寺であることは明らかで神功皇后が三韓征伐に際して祈願したとか鎌倉幕府が元寇の戦勝利を祈願したとかいわれる、開闢以来国際関係に常に巻き込まれていた寺院のようだ。しかしそんな事実を今に示す渡来品などは全く残っていない。
思えば福岡・博多を巡る歴史は非常に古いものがあるのだが歴史的遺物は思いのほか少ない。戦乱が続いて失われていったのだろうが古いものを大事に守るという守りの姿勢を維持し続けることは苦手の風土であるような気もしている。
人間の営みの歴史はうたかたのように流れ去っていきたいしたものは後に遺さず、結局残っているものは元々ある島々そのものでありツワブキのような生き物であるということになるのだろう。
だんだん九州が解って来たような気がする。歴史的遺物を追いかけるのは適当にしてやはり今を今あるものを楽しむのがいかにも九州的な生き方なのだろう、そう思えばこれは自分の行き方に合っているような気がして、やはりここは故郷なのだとの感慨が深まってくる。
もう秋も終わりそうだ。
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