九年庵(くねんあん)
九年庵(くねんあん)というところの庭園がこのあたりの紅葉の名所の一つだというので出かけた。この時期9日間だけ一般公開になり今年2013年は11月23日で終了する、無理してでも出かけようという気になる。佐賀県神埼市だから吉野ヶ里の近くで1時間と少しで到達できそうだし平日でもあり午後からで十分と出発したが渋滞が気がかりだった。ともかく何かの対策くらいはしてあるだろうと期待する。現地に近づくと予想通り一般車の駐車場案内が
次々に現れて誘導される。現地とは随分離れたところからシャトルバスが出るようだ。渋滞もなく大きな臨時駐車場へ着くと予想以上に沢山のクルマが停まっている。500円の駐車料金は取られるもののシャトルバスは無料で次々に発車している、スムーズだ,なかなかいい。この間行った唐津くんちもそうだったが佐賀は渋滞を起こさずに催しものを行う技術に優れているようだ。きちんと考える態勢ができているのだろう。
バス降車場からは橋を渡って出店が続き九年庵に至る、勿論ツアーバスも次々に到着して人出も多い、秋祭りの雰囲気がある。
さて九年庵だ。植えられたイロハカエデが紅葉の殆どだから山の紅葉のような感動は勿論無いが数奇屋造りの邸宅とあいまっていかにも庭園の紅葉として美しい、苔も30数種が巧みに配置されており庭全体の雰囲気を立体的にしている。京都風というのだろうかとも思ってしまう、確かに一見の価値があるようだ。元々戦前の佐賀財閥で東邦電力の初代社長も務めた伊丹弥太郎の別邸として明治末に造られたものだから歴史は100年くらいと浅いがつくりはなかなかで今は佐賀県が保有維持して国の名勝となっている。当時の九州一の築庭の名人といわれた阿(ほとり)和尚の作という。富の集中が生み出したものとはいえ美的形を後世に残しえたことは評価すべきだろう。しばらく雑踏にまみれて見入る。
この秋は雷山千如寺、九年庵と庭園の紅葉を見てきたが、去年まで見慣れてきた奥日光や東北の山の紅葉がどうしても懐かしく思い起こされてくる。あの圧倒的な美しさにはもう当分出会うことはできないのだろうか。
そのうちにまた、といいながら時はするすると流れ行きてしまうのだろうか、その様な思いの入り混じった未来の時を眺め見るのも却って面白くも思えてしまう。つべこべ思っていながら時は過ぎる、とにかく冬がもう直ぐそこだ。
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