平尾台で驚き
朝いつものように気象データをダウンロードして眺めているとどう見ても久し振りの晴れで野外に出かけるのには好適な天気のようだ。思いついたように平尾台に出かけた。
先週の週末はタモリカップヨットレースに参加して遊んでいた、ちょうどよい風が吹いてヨットには何よりではあったのだが、雨交じりの天気で一般にはあまりよい天気とはいえない。その後も雨模様が続き22日の明け方には激しい雷雨もあってこのところいささか気が晴れない思いがしていた。
平尾台は北九州市小倉の南にある標高400mくらいのカルスト台地だ。幼い頃に学校からの遠足で1度訪れたように覚えているが記憶は相当に薄れている。山口の秋吉台よりは小規模で幼い頃はあまり大したところではないとの言葉が付きまとっていたようにも思う。
福岡に戻ってきて平尾台の広谷湿原が結構いいとの記事を新聞の片隅で読んで一度行って見なくてはと思っていた。福岡では湿原らしい湿原にお目にかかったことがない。
ネットで調べると福岡市の自宅からは九州道経由で行くのが最も簡単で1時間半もあれば到着できるはずだ。11年目の車検を通したばかりのクルマで調子を見ながら走っていく。
台地の上に上がりまずは平尾台の中心と思しき茶の床園地に向かう、ネットで見る限りここに駐車するのが広谷湿地には最も近い。到着する
と駐車場は満杯近いが丁度空いたばかりのスペースに車を入れることができて園地のあずまやで早めの食事をとるとする。先客の初老の男性と話をしていると、那珂川町から朝早く来たといい広谷湿地のサギソウ自生地への行き方を教えてくれるがよく頭に入らない。何でも丁度サギソウが見頃ということらしい。よく話す。福岡ではよく話す人にしばしば出くわす、タクシーの運転手で福岡程よ
く喋るところは他には知らない。
広谷湿原までは事前に入れてきたGPSのポイントに従って歩いていく、といっても舗装してある道で間違えようもない。うねっている草原に羊のような石灰石の岩が点在する広々とした景観が気持ちがいい。
程なく湿地に着く、思ったより大分小さい。こちらに来てそれなりの規模の湿地というと久住の長者原辺りの湿地くらいしか知らない、九州は高層湿地には恵まれないようだ。遊歩道があるが木道も無い。
ギボウシらしい花がたくさん咲いている、遊歩道脇の草刈をしていた男
性があれはイワギボウシです、サワギキョウが来週なら咲くでしょうといろいろ説明してくれる、サギソウ自生地をここでも教わりやっと具体的な行き方がわかる、それにしてもこの人もよく話す。何はともあれ有難い。
サギソウ自生地へ行ってみると清楚な花が見頃に咲いている、野生のものは初めて見る、いかにもか弱く絶滅危惧種の雰囲気がある。
花はこの他九州以南に咲くノヒメユリが草原のあちこち咲きキキョウやサイヨウシャジン、オミナエシ、ツリフネソウ、ホザキ
ノミミカキグサ他よく見る花も珍しい花もいろいろ見れる。なかなかいいところだ。蝶やトンボも面白そうでそう広くもない範囲に多様な生き物や鉱物が分布している様がちょっとした驚きだ。
千仏鍾乳洞というところに回る。帰りがけの駄賃にと寄ったのだが、これがびっくり。まず駐車場から急な坂道を随分と下らなければならない、これは帰りは大変だと思えるが引き返すのも悔しい、やっと辿りつくと濡れてもいいようにビニール草履に履き替えて鍾乳洞に入るようになっている。なんだか大袈裟のように感じたが履き替えてともかく中に入る。大分来たなという所で狭くなって下が流水になる、かなり冷たい。直に終わる
だろうとタカをくくっているとこれが終わらない、曲がりくねりながら狭い洞窟を先がどうなっているかわからないまま水に浸かって進むのはつらくなる。それに足も冷たい。観光用というには危ない感じがしてきて途中で引き返す。次から次へと見物客は進んできておりこれに逆らって戻るのも楽ではない、殆どが子
供連れかアベックだ。大丈夫だろうかとも思ってしまう。出口まで戻って一休みしてくだんの急坂を戻る、足が軽くなったようで帰りは思いのほか楽だ。
家に帰ってネットでこの鍾乳洞についての書き込みをいろいろ見てみるとこのアドベンチャー風な洞窟が思ったより好評のようだ。多くの普通の人が一番奥の電灯がついてないルート(この日は水量が多くてクローズされていた)を滝のところまでヘッドランプを付けて入り込んでいるようで驚かされる、観光用とは思えない洞窟だ。それが好まれている。地震が起きたらどうなるんだろうとすぐに思うがこの地では地震は殆どない、そんな事情も背景にあるのだろう。
未だにこの九州という地を理解しきっていない、そう感じている。この先もずっとこの感じは拭えないのかもしれない、そうも予感している。しかし 突き放れたふるさと、その感触も悪くもない。
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