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2014年8月21日 (木)

広島の土砂災害が

中国大陸から優勢な積乱雲の帯が伸びてきて北部九州にかかり早朝から断続的に激しい雨が降る。積乱雲自体は短い時間で消えていくがそれを作った大気の構造はそのまま次々に新しい積乱雲を生み出しながら流れていく、壮大な流れだ。広島ではとんでもない土砂災害となった。ニュースを見ながら何故広島なのか考えていく。テレビの気象解説ではまったく踏み込みが浅い。

衛星画像を暫く動かしてみていると、上層大気の状態が現れやすい水蒸気画像が面白い。
目を引くのは本州の南はるか沖にある大きく低気圧様に左巻きする渦の存在だ、寒冷渦らしい。GSMの高層計算データも上空の大気温度の低い場所がその辺りにあることを示している。

衛星動画を見ていると、この渦の西端が中国大陸から伸びてくる積乱雲の流れとぶつかってこれを押しとどめている様が解る、ちょうど広島あたりだ。温湿な大気が寒冷渦とぶつかるのではそれだけで積乱雲の働きが活発となる、しかも動かなくなる、そんな仕組みになっていたのかと納得する。

広島の災害をテレビのニュースでみていると何でこんな山際に住宅が押し寄せるように建っているのか、建築規制が生ぬるいのではないかと感じてしまう。

もう少し位置関係を調べてみると崩れたのは広島の中心部に近いところだと解る、よく見れば広島の住宅地はこんなところを利用せざるを得ない地形になっている、平地が存外に少ない。土砂災害の起こったあたりに住宅を建てた人は(山崩れさえ無ければ)便利ないいところに住めたと思っただろう。試しに住宅価格を見てみると災害の起こった辺りでは30坪強の土地に建つ新築1戸建てが2900万円位で売られている、随分と土地の面積が狭い。土地の価格がかなり高いものになっているようだ、だから山際ぎりぎりのところまで開発してしまうし、公も強いことは言いにくい事情があると思えてくる。

この土砂災害はどの時点なら防止できたのだろうか。相当に根が深く、解決は簡単ではない、しかし考えねばならないだろう。

ここまできて そういえば長崎も随分と平地が少ない、と気づく。両市ともいわずと知れた原爆の被災地だ。何となく原爆を投下しようとする側の場所の選定の論理がわかるような気がしてくる、新しい爆弾による効果を確実なものとするためだだっ広い平野でなくて山地に囲まれた狭い地域に多くの人が生活している土地を狙う、そのように思えてくる。戦争は恐ろしい、こんなことまで考えるようになってしまうのか。

あの戦争は一体どこで止めることができたのだろうか。
頭の隅から時々頭を出すこの問いにそろそろ真面目に向き合わなければならない時が来ているようにも思っている。

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