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2014年11月29日 (土)

耶馬溪を訪れる

耶馬溪の紅葉が見たくてやっと11月の最終週に出かけた。中旬が見頃との情報がネットのあちこちに書き込まれており遅いのは承知の上だ。春の桜もそうだが秋の紅葉は盛りに目掛けて動くことは容易くは無い。晴れていることも条件の上位にあり都合をつけて動くには相当の努力が必要だ。体調もある。ベストの時期から多少ずれるのはしょうがない。
予定通り自宅から1時間40分くらいで高速の玖珠インターを下りて国道387号線で北上しようとする目の前を何と74式戦車が横切る。公道を走る戦車を見るのは初めてだ。右手に信号待ちしていSennsya1 るもう1台の74式戦車Sennsya2も見える。驚きだ。考えてみれば陸上自衛隊の日出生台演習場が右手のほうにあるはずだから、ここではこんな風景も異常ではないのだろう。恐らく左手にある玖珠駐屯地に移動中と見られる。しかし異様な光景だ。見ていても現実に国内で戦闘となる風景がどうしてもリアリティーを持って思い浮かばない、こんなのが撃ち合うような事態は最後の最後になるのだろうかSennsya3

少し複雑な思いで20分くらい走ると最初の目的地、深耶馬溪の一目八景に到着する。広い駐車場周辺は紅葉もいい頃合だが連なる岩山は葉も半分以上は落ちており1週間は 遅かったようだ。
一目八景展望所というのはきっと小山の上にあるのだろうと思っていたが何のことはない国道横の建造物だった。見やすいが観光用に整備された場所だけにこんなものかと思ってしまう。感動がない。しかし搭状の岩山が四方にあって垂直の白い岩肌と紅葉の取り合わせYabakei2 がいい、紅葉の名所には違いない。観光バスも何台も来ている、自分で回っても名所めぐりツアーは疲れる思いがするがとにもかくにも景色を堪能した後次のポイント羅漢寺に向かう。

走っている両側も奇岩が多く面白い風景だ、あきない。羅漢寺はトンネルの手前の駐車場にクルマを置いて 古(ふる)羅漢から回り始める。傾斜のきつい岩階段を登っていくと前から修道院のシスターの一行が下りてくる。結構な年の人もいてよく歩いていると思うほどだが教えは違っても宗教的な遺物には興味をそそられるのかも知れない。歩道が整備されているので何とか登れるが修行の僧はこの岸壁を攀じるように巡って行ったのだろう、気が緩むと即墜ちそうだ。Yabakei4
岩盤に横穴が開いている形の不思議な場所に至る、南北朝(14 世紀)時代の物と見られる観音像があって流れていった時を感じる。その先は鎖場になっていて気軽にはいけない、ここで撤退する。阿蘇山の溶岩が作り出した削りやすい岩山が信仰と結びついたのだろう、国東半島や臼杵の磨崖仏と同じ線上にある永い時を経て伝わってくる何か無言の意志のようなものを感じる。

羅漢寺の五百羅漢を見る。リフトがあって容易に登れるためか混んでいる。一体一体の表情が異なり面白い、兵馬俑の影響が伝わっていたのではないかとも感じる。1Yabakei3人の僧が1年で全てを彫り上げたというから驚く。(五百羅漢の写真は羅漢寺HPからの転載、現地は撮影禁止)。
更に数キロ先の青の洞門、競秀峰を見る、本耶馬溪と呼ばれる景観だ。山国川に沿った絶壁を形成し切り立った岩山の連なりを見せる。見上げると絶壁の途中にトラバースする道をかすかに認める、あんなところを飛び歩くとは恐ろしい修行だ。 僧禅海が掘ったとされる手彫りのトンネルも一部残されているが丁寧なノミの跡に執念が見えるようだ。五百羅漢もそうだが一人で作り上げるというところがキーのように感じる。どちらも一人だからこそ出来たのだろう。時代を進めているのは結局は一人の力によるのだろうか。
ここでも修道院のシスター連とすれ違う、これが誰が考えても定番のコースのようだ。
Yabakei5 この後は九州に残る最古の民家といわれる神尾家住宅や天然記念物の猿飛の甌穴群などを見て宿の日田に向かう。少々疲れる。

耶馬溪とはどんなとこなんだろう、一応解った気がする。奇岩の続く景観の紅葉は見ごたえがあるがそれにしても観光地だ、コースにはめられているようなところに疲労感を感じる。何回か来ないといい見方に辿り着かないのかもしれない。

死ぬまでに見たい物はすべて見てしまうということは土台無理なのだからもっとのんびりした旅をといつも思うのだけれどYabakei6 も、そうはいかない。ずっとこんな旅を続けることになるのだろう、それでも構わないとも思っている。

それにしても平和な時が流れていく。

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2014年11月27日 (木)

関東への旅、覚え書きとして残したくて

もう2週間前の話となってしまったが引越しした後初めて福岡から関東を訪れた旅の幾つかの印象が面白くて書き残しておくべきかと思っている。

旅のきっかけは福岡羽田のシニア向け格安航空券が1万円と得やすくなったことかもしれない、スカイマークが福岡羽田線に投入したエアバスA330の空席が多く赤字を生み出していることの結末ということになるのだろうか、これも巡り会わせだ。
A330はかなりすいていた。前日予約する必要もないほどだった。50%くらいだろうか。シニアメイトも見かける。これでは赤字運航だろう、スカイマークはこの先大丈夫だろうかと思ってしまう。
搭乗手順はJALとは違って全員が自動チェックイン機にカードを入れる。座席選択もここで行う。手荷物ありとすると手荷物用のタグが出てくる、同時に出てくるボーディングパスを持って 荷物検査をしたあと荷物を預けるが荷物へのタグ取り付けは原則自分でやることになっている。しかし初めてでは面食らう、タグにどこから剥がすとかこの部分は手元に残すとかのガイドが印刷されていればいいのだがと思ってしまう、コンビ二おにぎりに慣れた身には妙に不親切だ。少しでも人手を減らそうとしているところがよくわかる、しかしまだ突き詰めたLCCではない気がする。
離陸時にはANA777、ボンバルディア、大韓航空と離陸が重なりそれを縫って到着機が着陸する。かなり忙しい空港だ。滑走路上の待ち時間が多く定時運行キープもつらそうだ。福岡空港の滑走路増設は来年度着手の計画で予算要求がKanto1出されているが最早遅きに失したのではないかと思わせる光景だ。
座席は高級感があっていい、これで満席にならないのは不思議な気がする。パソコン用電源も全シートに用意されているしフットレストもある、何より座席間隔が広いし座席の横幅も広い。8列可能な胴体に7列の座席としている、要するに全席ビジネスクラスの配置だ。飲み物は100円本格コーヒーや100円アールグレイティーがありこれで十分なサービスだ。カップヌードルやインスタントうどんも100円であり、簡単なラKanto2 ンチもとれる。
帰りの便もSKYMARKのシニアメイトで羽田から搭乗したが、この時は自動チェックイン時に必要となる年齢証明のため係員を呼んでも一向に来てくれず、むしろ無視する風情で、あまりの対応の悪さに怒ってしまった。教育が良くないのかいい人が雇えていないのか惜しい感じがする。
往きの話に戻る。羽田に着いてさすがにA330ならボーディングブリッジとなる、バスとはならない。荷物もすぐに出てきて全体にいい印象がある。経営が難しくなりつつあるようだが頑張って欲しい。A330は乗ってみるといい飛行機だ、特にスカイマークの仕様ではゆったり感に満ちており 、これで人気が出ないとは不思議だ。ボーディングパスは自動機でのみ発行とか自分で荷物にタグ付けするとか機内の飲み物は有料とかLCCの先達らしい切りつめた方式とゆったりシートがあまりにもバランスしていないためかもしれないとふと思う、旅のゆったり感は座席だけからくるものではないようだ。

羽田からはまずはスカイツリーだ、やっと見れる。計画通り地下鉄都営浅草線乗り入れの京成急行で一気に押上まで行く。久しぶりの東京の地下鉄だが車内の行き先ディスプレイが韓国語中国語英語日本語でポンポン変わっていき大丈夫とは思うものの急行というのは押上に間違いなく止まるのか中々確かめられない。アナウンスもか細くて聞き取りにくく、相変わらず慣れた人向けの地下鉄のイメージが改善されていない。お-も-て-な-し はまだまだ口先かの感がある。
地下鉄を降りてからスカイツリーに通じる通路までエレベータで上がるのだがこの間ホームからの移動にはエスカレータに乗れなかったり歩きにくかったり、荷物を抱えての移動は辛いものがある。健康な働き手のためのみに出来上がった街だ。
東武線の押上駅でもあるはずだからここで次の日分としてネット予約した東武特急の切符を手に入れれるだろうと思っていたが駅員に聞くとここでは東武の切符は売っていないとすげない。受け入れるよりほかない。荷物をエレベータ前のコインロッカーに入れて歩き始める。スカイツリーのショッピング街が続く、平日だがやたら人が多い。東京だ。
東武トラベルまで歩いて行ってやっと東武特急の切符を入手する、ここは空いていて問題ない。教えてもらった東武トラベルのすぐ近くのエスカレータで4Fまで上がりスカイツリー観覧入口に向かう。当日券もあるがこちらはまず予約時間の券をもらってから切符を買うという手順になっている、この時でていた券は16時ー16時30分というもので13時すぎから3時間近くKanto3 待つことを強いられるようだ。事前に前の日に福岡の自宅そばのセブンイレブンで13時半ー14時の予約券を買っておいて正解だった。前の日はすべての時間帯で売り切れはなく一見ガラガラの印象を与えていたがそうではなかった。団体も含めて渦巻くような人人人だ。これはいいビジネスになっている。中国や韓国からも大分来ているようだ。ぴったり13時半のエレベータに乗って400mくらい上がる。ここをぐるりと一回りして景観を堪能したあとさらに1080円払って最上部の階に向かう。このエレベータも待ち行列だ。いい天気で箱庭のような東京の姿が面白い。富士山が見えそうだが霞んでいて見えない。スカイツリーの影が地上の建物の上に落ちて日時計のように見える。どの建物に影がかかると何時という説明がどKanto4 こかに掲示されればもっと面白いのに、と思ってしまう。盛んに研究されているウエアラブルなデバイスで等高線が透けて見えるようなメガネでも貸し出されればこれも面白そうだ。たくさんあるはずの楽しみ方が紹介されるでもなくひたすらぐるぐる歩き回るのはもったいない気もする。うまくやれば頭上の星が昼でも見えるかも知れない、そんなことも思ってしまう。流星雨の時は更に面白そうだし日食月食も気持ちよく見られそうだ。そこまでしなくても人はうんざりするほど来るという今だからこそ次々に手を打っておければと思ってしまう。
堪能して350mのフロアレベルまで下りてくるとガラス越しに真下を見ながら歩ける場所が用意されている。見ながら歩こうとする一歩を踏み出すのに足の裏がむずむずしてためらいを感じるのが面白い。踏み出してみるとどうという事もないと解って後の足は出てくるのだがその微妙な感じがいい。
スカイツリーの小さなモデルのついた葉書立てをお土産として巣鴨への移動にかかる。ほぼ計画通りの時間に押上駅から半蔵門線で神保町で三田線に乗り換えて巣鴨だ。ここで宿に荷物を置いて六義園に向かう。六義園は関東にいてついに訪れることの無かった場所だ、こKanto6 の時期紅葉がいいはずだ。ライトアップで夜もやっていると思っていたらまだで5時閉園という、30分しかないが止むを得ない。門の前にばらばらと団体がいる、中国人のようだ、東京の観光ツアーなのだろう、こんな所にもと感じるが現に東京見物中のわが身を思えば東京の観光ポイントとなればこういうことになるのだろう。視点が変わったのが面白くもある。次第に日が落ちていく時間にも庭園の紅葉は美しさを見せてくれた、十分だ。
歩いて旅の口実の一つとなった本日の会合場所に向かうがちょっと早いので小さなハンバーガー屋さんの店先に座って写した写真を見直しながら通りを行く人を何となく眺めて時間をつぶす。眺めていて飽きない、幾らでもつぶせる。

こんな風にして最初の日は過ぎていった。歩き疲れた、足の傷にも負担がかかったようにも感じたが、全てが人の渦巻きのような東京らしさに満ちていた。時々訪れてこの雰囲気を感じるのも悪くない、そう思った。

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2014年11月18日 (火)

久し振りに関東を

久し振りに関東を訪れた。サイトの交流会の翌朝、千代田線より乗り換えて北千住から東武特急で日光へ走った。前の日は羽田からスカイツリーや六義園を地下鉄を何度も乗り換えて回っていた。東京のKitananto2地下鉄は久し振りに乗ったが前にも増して路線が入り組み込み入っていて疲れる。アナウンスもか細くてわかり難く おーもーてーなーし の東京とはとても思えない。東武に乗ってもう乗り換えしなくともよいとなるとやっとほっとする。
鹿沼の辺りから心に響く鮮烈な北関東の秋の光景がパノラマのように過ぎ去っていく。無性に懐かしい。澄み渡った朝の光がいい。第2のふるさとという言葉が衒いもなく初めて実感をもって湧いてくる、こういうことなのか。何かを得て何かをKitakanto3失う、どうしようもないことだ。
懐かしい顔と次々に会う。大谷川の茫茫とした風景にベニマシコやシメやカワラヒワが飛び交 う。いい景色だ。黄色く色付いた背の高い落葉樹の林、九州には 無い景色だ。一つ一つが心に沁みる。
中禅寺湖畔を落ち葉を踏みしめながら歩く。秋の冷えた空気が却って気持ちがいい。
こうやって過ぎていく空気と時間の流れに永遠を見るようにも思えてくる。
センチメンタルジャーニーかもしれない、でもこんな旅は秋に似つかKitaknto1わしい。

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2014年11月 9日 (日)

ルイサダのコンサートが予想外で

ルイサダのコンサートが近くの大野城市まどかぴあホールであるというので予約して出かけた。このホールには無料の立体駐車場があって便利でもある。

去年も11月の下旬に福岡市のアクロスでルイサダのコンサートがあって良かったという感想があちこちに書き込まれていたので、今年は逃さず聞くことにしていた。
去年のコンサートの後ルイサダは3日かけてアクロスのホールでショパンのワルツ、マズルカのCD収録を行い今年リリースしている。福岡には何かと縁がある人のようだ。
一番前の向かって右側の席で聞いたがピアノが随分近い。始まるとこれは近すぎたと後悔する。流麗なショパンという感じがしない、音の塊が飛んでくるような、或いは頭に叩き込まれるようなショパンだ。ショパンの曲は思いのほか不協和音があるのにも気付かされるしルイサダが時々ミスタッチするのにも気付かされる、とにかく音そのものの押し寄せる力が強い。
休憩時間に昨年アクロスで収録したCDを買って演奏後にサインをしてもらう。事務方はLuisada 時間が押しているのでとせかせるがルイサダは愛想よくボンソワールと言いながらにこやかにサインしてくれる、柔和なおじさんだ。どこからあんな激しい演奏がと思うほどだ。
帰って直ぐに聞いてみると録音がいい、しかしこの日に聞いたような音に攻撃される演奏ではない、やはり聞いた場所が悪かったようだ。でもこの感触も演奏そのものから来ていることに違いは無い。生ものだ。
こういうことがあるから生で聞くのは面白いのかもしれない。

音楽ではないがこの秋面白かったのはソフトバンクの野球だ。
劇的なリーグ優勝をとげクライマックスシリーズに突入したところでこれは観にいくべきと第4Softbank 戦を予約して出かけた、10月半ばのことだ。ここで勝って王手かというところが序盤からの大量失点で負け試合となった。がっかりだが、見ると7回を終わると帰り始める人が続く、前の席で見ていた夫婦もさっさと引き上げた。まだ回も残っているし逆転も無くはなかろうと見ているほうが情けないのかと思ってしまう。イライラする試合は見たくないというのがここの風土かもしれない。ドライだ。こんな雰囲気も現場に来なくては解らない。

事の起こっている現場は思うように運ぶものではない、これが当たり前だ、時々これを思い出すようにしないと設えられたデジタルな世界に流されてしまうように思える。やはり何であれ身を切って出かけていくより他リアルな世界に居続けることはできないのではないかと思い知る。

こんなことを言い訳のようにしてまた旅に出かけたくなる。秋は続く。

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2014年11月 5日 (水)

脊振山の紅葉を見る

Momiji2 朝の冷え込みが一段と進んできた。昨日今日は6-7度の最低気温となって紅葉の進み具 合が気になる。

常緑樹が多い九州では紅葉は迫力に欠ける。

そうはいっても標高がおよそ1000mでブナの林がある脊振山山頂付近ならそれなりではなかろうかと出かけてみた、 からりとした青空が続くせいもある。

西側から佐賀県に抜けて脊振山の南山麓より山頂へ向かう。山頂付近になってかなりいい雰囲気の色付いた木々が見えてくる、悪くはない。 山頂駐車場にクルマを置いて散策する。稜Momiji5線に沿った山道が歩きやすくブナの黄葉やコハウチワカエデの紅がなかなかいい。時折シジュウカラやヤマガラが高い声を響かせ、枯れていく秋の繊細な時間が流れていく、久し振りだ。

それにしても那須・日光や南会津の山々を包む紅葉の景色がなつかしい。カエデの種類も九州は少ない、例えばハウチワカエデやオオイタヤメイゲツ等は九州にはなく紅葉見物といえばイロハモミジばかりのような印象さえ受ける。九州の紅葉は久住付近が良さそうだが少々遠いし結構山歩きが必要となる。 地道に探していくほかないようだが脊振山がまずまずであることは解った。

どうあれ Momiji6タイミングを計る意思と天候と体調 とがうまくマッチしなければ思った程の紅葉は見られない。この秋は久住あたりに行けるだろうか、肉離れを起こした右足も少しは歩けるようになったが長距離の車の運転はまだどこか不安がある、晴れはいつまで続くだろうか、タイミングを次第に逃しつつあるような気がしている。

山のモミジを見る、簡単に思えていたことがそうでもなくなってくる。何かを得れば何かを失う、そういうものだろうと素直に受け入れる。そんな風景がいかにも秋らしMomiji4い。

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