アシアナ航空広島空港着陸事故の公表データを見る
広島空港のアシアナ航空着陸事故調査の速報版パワーポイントがネットに公表されたので(http://jtsb.mlit.go.jp/jtsb/aircraft/air-flash.html)、暫く眺めている。見る限り着陸復航するしかない状態ですべき時にその決断をしなかったとしか言いようがない。明瞭なパイロットミスだ。
着陸進入の操縦そのものは普通で速度の低下などは無いし、復航決断ポイントの高度がやや低目かもしれないが低すぎるということでもない、普通といっていい。GPSを使うLNAV/VNAVに従ってILS(計器着陸システム)のようなパスで定常降下しVDP(目標降下地点)の位置(滑走路端から約2400m手前)でほぼMDA高度(最小決断高度、この場合は1500ft)に達している。ここで滑走路の視認を確認して視認できなければ視認できるまで水平に飛びMAPt(滑走路端の1850m手前)に達したら着陸復航する手順となるがここではそのまま降下を続けている、滑走路が視認できていたことになる。空港の気象データからは、この時の滑走路視程は400-450mで、視認できた状態とはとても思えないがパイロットはこれくらいなら降りれると思ったのだろう。定時運行せねばとの暗黙のプレッシャーを感じていたのかもしれない。
MDA到達でコールがあるはずだが、ボイスレコーダにはこのあたり何が録音されていたのだろうか、気になるところだ。
滑走路を視認できないまま手探りで降下を続け、やっと滑走路が見えたところで初めて低すぎに気付き慌ててパワーを入れて引き起こしたが間に合わなかったということのようだ。
どうすれば防げたか。基本的にはパイロット教育の徹底ということになろうが、パイロット教育の体制に一抹の不安が残るエアラインも存在することを思えば、これ以上はこの空港の場合ILSを何とか東側にも設置するほかない。
乗客としては不安のあるエアラインには乗らないようにするしか無い、ということになる。
それにしてもアシアナの広島便運行再開にあたって日本の航空局サイドからどのようなアクションがなされたのだろうか、アシアナは何を行ったのだろうか、そのあたりもオープンにされるべきことのように思う。政治的配慮がなかったことを祈るばかりだ。
安全は結局は殆どが人の問題という当たり前のことをまた思い知らされた事故だったように思えている。我々は少しは前に進めているのだろうか。
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