七ツ釜にて
6月の初め、唐津の七ツ釜というところに行ってみた。天然記念物になっている玄武岩の柱状節理洞窟があるところだが、ここはグランブルーのジャックマイヨールが幼い頃イルカと出会
い、海を学び、その後も度々訪れた場所としても知られている。ジャックマイヨールは1927年上海でフランス人建築家の家庭に生まれた。毎年のように一家で夏は唐津の生の松原のホテルに訪れていた。マイヨールは唐津の海で泳いでいるときにイルカに出会いともに泳ぎイルカから学んだといわれている。戦争もあり欧州に引き上げていたが戦後暫くして再び唐津七ツ釜を訪れた時ここまで汚染が及んでいるのを見て嘆いたといわれている。
呼子から観光船に乗り込む。貴重な梅雨の晴れ間はどこかへ出かけたくなる、この日はどう見ても穏やかでさわやかな晴れと予想できた、予想通り波も穏やかで良く晴れたいい日だ。平日で遊覧船には7-8名くらいが乗っているばかりで、もったいないくらいだ。海岸に沿って暫く行くと玄武岩の露岩が目立ってくる。
ここが七ツ釜というところに到着すると確かに七つの洞窟がある。遊覧船のへさきを少しばかり穴に突っ込んでくれるが感激するほどではない。向こうまで小さな穴が抜けたところもあって小船なら中を進めるようだ、遊覧船はとても入れない。
確かにごみが浮いている。どこから流れてきたものだろうか、入り組んだ洞窟の海岸はごみがとどまり易いように見える。
見事に6角形になった柱状節理の断面をみているとここにゆっくりと現出したマグマが海で冷やされていく様が思い描かれる。この近くに昔 火口があったことになる。少し東の芥屋の大門も同じく玄武岩の柱状節理で出来た洞窟だ。地層としては洪積世(260万年前~1万年前)とされているようで人類が登場し始めた後のやや新しい時代になる。100万年単位で考えると日本はどこが火口になってもおかしくないようだ。
玄海原発は呼子から見て名護屋城のある半島のすぐ向こう側になる、かなり近い。核エネルギーという質量の形で自然の中に蓄えられたエネルギーの解放は、消えるまでに数万年はかかる廃棄物を残してしまうが地球の歴史から見れば短い時間ともいえるようで、そんな尺度で考えるのが自然の中に蓄えられた力の利用のタイムスケールのようだ。人間の生活時間が短かすぎるのだろう。人間の作るものも万年単位でもつようになって初めて地球系の一部となるような気もする。植物や微生物の作り出した石炭や石油は億年単位で役に立っていることを思えば人類は未熟の限りなのだろう、何しろ原発はたった40年で役目を終えるというのだから。
石を見ながらこんなことを思い巡らす、石はえらい、とてもかなわない。
それにしても、晴れた日の穏やかな海がいい、イルカと遊べなくとも、いい。
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