大英博物館展がいかにもイギリスらしくて
大英博物館展が開かれているというので暑い時は屋内かな、とでかけた。
大英博物館はロンドン訪問の折に訪れたことがあり、無料というのが感動的だったが、今回は一般は1600円もする。運び賃がかかるとは思うがそれだけではあるまい、これは大英博物館の商売かなと思うと同時にイギリスの大英帝国外に対する見下ろすような目線を感じてしまう。
展示は「100のモノが語る世界の歴史」という副題になっている、英文ではA History of the World in 100 objectsだ。
このA History of the World in 100 objectsという表示はBBCとBritish Museumによって2010年に9ヶ月にわたって歴史的な100点を選びながら放送されたラジオ番組のタイトルであったという。あげられた100点はBritish Museumにマークされて展示されていたが、そのうち巡回可能な半数程度に同等なものを新たに撰び直して補って昨年から世界巡回の展示が始まった。アブダビ、台北と廻って次が日本の東京福岡神戸の3都市となった。勿論もともと撰ばれたもの全ては巡回されていないが、先の2国では持って行けなかったものが日本には来ている、例えば有名なウルのスタンダードだ。
スタンダードとは奇妙な名だが何に使われたものなのか未だ
に分っていないという。現物を眺めてみると国の姿またはあるべき姿を現しているようにも見える、片面は王が支配する平和な世の中で片面は(これをもたらす)戦いの有様が描かれている。思ったよりも古びてなくて綺麗だ、とてもバビロニアに先駆ける世界最初の都市国家の遺物とは思えない。人類の歴史は進んでは後退を繰り返してきたのではあるまいか、戦争があり平和がある、その振り子全体はどのくらい進歩したといえるのだろうか、考えさせられる。このところ少しばかり退歩の兆しがあるようなのは気になる状況ではある。
北斎漫画も撰ばれている、もともとは北斎の逆巻く波を描いた「神奈川沖浪裏」が撰ばれていたのがこれに変わっている。「神奈川沖浪裏」の浮世絵を持って来れないとは思えないのでより現代的視点で日本のマンガの原点とも言える北斎漫画を撰び直して持ってきたように思える。わざわざ差し替えていかにも視点を高くしたような雰囲気が英国らしいといえばそのようだ。ちょっと鼻につく。
確かにこの展示は展示品の一つ一つが貴重であり成程と思わせるが全体として英国人の世界観・歴史観を隠しようも無くにじませているところがすこぶる面白い。
こんなことができるのは世界ではBritish Museumしかない、そこを見せつけているような雰囲気がこの展示会ならではだ。
続けて廻った常設展のスーパーハイビジョンシアターでは居眠りから逃れられなかった。少々イギリス人の気迫に圧倒されて疲れたのだろうか。
しんどくても暑い夏は辛めの催しが刺激的で確かにいいようだ。
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