海を測る話が興味深くて
1週間ほど前、海の科学講座という講演会が開かれるとあって聴きに行った。よく知らない分野の話は随分ためになることがあるし そうでなくとも仕事を離れると学ぶ機会が以前にも増して大切に思えている。
場所は福岡市の九大西新プラザというところだが九大と名の付く施設が未だ六本松・西新地区に残っている、すっかり糸島に移転したとばかり思っていた。駐車場が殆どないとあるが歩くと暑いので車で行って敷地の空いたところへ押し込んだ、こんなことは出来る所のようだ。
200人くらい入るホールで海を測るというテーマで講演が3つあった、始めは地道に海にセンサーを入れて測る話、次は衛星のリモートセンシングの話、最後は生物を利用して測る話だ、地球環境の今を理解するには海のデータを見たいという気持もあってこんな講演会をのぞいてみたのだがそれなりにそれぞれに面白い。
講演の中で気象のsynopと同じように各国で手分けして計測した海のデータがアルゴデータという名でインターネット上で誰でも見ることが出来る、というので帰ってパソコンで見ようとするが、手ごわい。
JAMSTECのサイトからFNMOC ( アメリカ海軍気象海洋センター )へアクセスしてnetCDFで書かれたデータをダウンロードすればよいようだがダウンロードしても簡単にはデータが見れない。幾つかのサイトで調べていくとOcean Data Viewというソフトで見られそうなのでこれもダウンロードして動かしてみるが未だにデータを見るまでに至らない。気象と違って簡単には入っていけない印象がある。より限られた人しかタッチしない世界なのだろうか。時間ばかりが過ぎてしばらく放ってある。しかしともかく普通の人でも頑張れば深海までの現在の海洋のデータを生に見られる時代になっていることは確かなようだ。
最後にあった講演の、魚やウミガメなどにセンサーとメモリを付けてその生態と共に海洋データを取得するバイオロギングの話が面白い。実際にウミガメに取り付けたカメラで求愛行動が動画で写さていたが、見ていてすこぶる興味深い、こんなことがやられているのだと初めて知る。勿
論回収が結構大変で魚につけたりする場合は漁師さんに漁ってもらうことを期待するという。小型のデジタル機器が安価に手軽に入手できるようになってこんなことが出来るようになったようだ、取り付けている装置は殆ど自作のように見える。
海の中は一緒に深くまでもぐることは出来ないし、電波は使えず超音波でしか通信ができない、と鳥の観察や生態研究と同じようには全く行かない難しい世界だ。それが個人レベルのスキルで切り開けるようになってきている、面白い。
色んな所で感じることだが、専門家といわれる人しか見れなかったデータやとても手が届かなかった特殊な装置が自分で入手し自分で組み立てられるような時代になってきて何かが加速的に動き出している、それをここでも感じる。思いもよらぬ切り口から時代が変わってきて行く予感がする。
原発推進のロジックの破綻が3.11で明らかになったようにブラックボックス化して情報操作するというやり方はいつかは破綻する、そんなダークな面も含めて時代は透明化に向かっているしあらゆる人があらゆることに参加できる時代に向かっているように思える。核融合でさえ個人の手の中で行われてしまう可能性すらある。
先には何があるのだろうか、人間の本性が露骨に表れてくる世界だろうかそれとも深く理解しあえる世界だろうか、どのくらい時間が経てばそれを見えてくることなのだろうか。
50年だろうか、もっとだろうか、とてもそこまで見れないのが残念だ。
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