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2015年9月10日 (木)

オペレッタと焼酎

ヨハン=シュトラウスのオペレッタ「こうもり」がメルビッシュ湖上音楽祭の引越し公演として福Koumori 岡でも上演されるとあってこれはいいと観にいくことにしていた。知らなかったがメルビッシュ湖上音楽祭はオーストリアのオペレッタの夏の音楽祭として世界的に有名らしい。
予習もせねばとクライバー/バイエルン国立管弦楽団の 演奏で上演した「こうもり」のDVDを図書館から借り出してきて事前に見ておいたのだが、その中で酔っ払いの看守の酒を指して言うせりふを焼酎と字幕で訳出しているところがあって、本当に焼酎の訳がないとちょっと引っかかっていた。

 

さて2日前の福岡でのメルビッシュ公演は素晴らしくて、演じ手も、輝きのあるイーヴァ・シェルや迫力満点にロザリンデを演じるアレクサンドラ・ラインブレヒト、軽妙なアルフレード役のアレクサンドル・バデア等の好演に加え専属バレー団のバレーの挿入もあり随所にオペレッタらしい楽しさをオーストリア直送で満喫できたのだが、気になっていた酔っ払い看守のせりふの所では何と日本語で[ショウチュウ」を連発してきた。看守役は演出のゲアハルト・エルンストが演じている。他にも幾つも日本語を飛ばしてきて笑わせる、さすが本場のオペレッタだ、お高くとまっていないで観客サービスに徹していると感じさせる。DVDのよりずっと生き生きしていて楽しい。
こんなオペレッタを8000円位で楽しめるのは申し訳ないとさえ思えてくる。普通に考えるとオペラ歌手、オーケストラ、合唱団、バレー団と揃えての来日公演ではとてもペイするとは思えない、どこからか補助が出ているのだろうか。

 

それにしても引っかかるのは「焼酎」だ。原語は何と書かれているのだろう、とインターネットで原文を探していくと程なく見つかって、Slibowitz とある。スリヴォヴィッツと読むらしい、スラヴ語だ。聞いたことのない酒の名前だが、東/中欧で生産・消費されるスモモ蒸留酒ということのようだ。ヨーロッパの田舎の蒸留酒ということなら日本で言えば「焼酎」となったのだろう、スリヴォヴィッツでは訳がわからないしブランデーというとちょっと雰囲気が違う。ふさわしい言い換えではある。
飲んでみたい気もしてAmazonで調べると5000円位もする、高いものしか輸入されていないようだ、これでは気軽には飲めない。

ところで、何でメルビッシュの初めての海外公演が日本なのか、と不思議に思って色々あたっていたら、来年のメルビッシュ湖上音楽祭の出し物がパウル・アブラハム作曲の「ヴィクトリアと軽騎兵」となっていると発表されており、これか、と合点がいった。「ヴィクトリアと軽騎兵では第1次大戦後ロシアから日本に脱走してきた2名の軽騎兵を軸に展開される話で第1幕は東京が舞台となる。演じる側でも日本を体感しておきたいができればメルビッシュの名を日本で広めて来年夏には日本人に観客としてメルビッシュに来てほしいとの思いがあるように見える。今回のツアーにはオーストリア大使館の全面バックアップがあるようでもある、こんな形で交流が深まれば願ってもないことだろう。

こんな風にまた新たなものに幾つも出会って日々が過ぎていく。海のような時間に浸っている感じがいい。

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