新年、武雄に遊びに行く
「住民生活等緊急支援のための交付金事業」という名のばらまき予算で安く宿が宿泊できるというので新年早々佐賀の武雄温泉に出かけた。JTB予約では2万円以上の予約に対し1万円の割引クーポンを発行するという、勿論枠があり早い者勝ちだ。景気刺激策といってももとは税金だ。税金を納める立場から見れば支払った税金を取り戻すチャンスということになるがこんな風に使う税金は何だか情けない。社会インフラ整備に使ったほうが遥かにましのように思えるが建設業は人手不足でこれ以上すぐには押し込めないということかもしれない。じゃぶじゃぶの使い方だ。こんなことでは国の累積借金を返す算段など到底無理かと思えてくる。
とにかく出かけた。嬉野は数年前に行ったので武雄はいいかもしれないというくらいの気持ちで選んだのだがいざ行くとなって調べると辺りにあまり目覚ましい観光スポットもない。当日は雨模様でもある。トリップアドバイザーのサイトで周辺の見どころを探すと第一位は武雄図書館と出る。そういえばTSUTAYAに民間委託した型破りの図書館があること
を思い出した。これは面白そうだ。スタバもある。
予想通り今にも降り出しそうな天気で、まずは降らないうちに屋外をと御船山楽園を見て回った後、お目当ての図書館を昼頃訪れる、中のスタバで軽い昼食という算段だ。
新しい建物で2013年4月1日に全面改装後TSUTAYAの母体会社CCCによる運営で新たなスタートを切った。図書館にTSUTAYA書店とスタバが併設された。実際に建物の中に入ってみると図書館とTSUTAYAエリアとスタバエリアに仕切りはなく混在しているのにちょっと驚く。スタバでサンドイッチとコーヒーを調達して近くのテーブルに座るとそこは
閲覧席だ。勿論飲食可能だ。更にすぐ横には売る本がきれいに展示してあって、図書館の本のようにこれを手に取って心ゆくまで読むことができる。別にスタバのコーヒーを飲んでいる人が多くいるわけでもない、こぎれいで頗る自由な閲覧席だ。面白そうな本が色々展示してある、近くの本屋で見かけない興味深い本が多い、うまく選んである。子供から大人まで物事に興味を抱く人を惹きつけやすい本が選んであるようだ。鳥の羽について書かれた本(ソーアハンソン著「羽」)が面白くてつい買ってしまう。2600円と安くはないが面白い本は買いたくなる。
販売本展示の後ろ側のエリアが図書館の本のエリアになっていて1階と2階を占める。展示に工夫があって多くの本が見やすい。全部を見渡すのは難しいので自分に興味のある分類だけの比較になるがどう見ても福岡市総合図書館の開架エリアにある本よりずっと多いように見える。どういうやりかたなのだろうか、展示やお客に本を見せる技術は民間のほうが優れているような気がしてくる。
実験的な試みであり問題も色々出そうだが、旅行者でも訪れてみる価値の高い魅力的な場所であることには間違いない。借り出しはしなかったが旅行者でも利用登録は可能で貸出が受けられる、返すのは全国どこからでも有料でコンビニから送れるようだ。
図書館の運営費としても安くなっているという、ここで出てくる問題をつぶしていきモデルとして洗練されてくれば全国に広まってほしい手法のように思える。とにかく本に接するのが楽しくなる場所を創り出しているのは明らかだ。議論は色々あってもこんな税金の使い方はまっとうな気がしている。
武雄に泊まった翌日は諫早の干拓地に鳥見に向かった。風のある寒い日となったが観察
台でしばらく待っているとチュウヒ、ハイイロチュウヒが現れた。写真に撮るにはやや遠いがスコープではよく見える。この鳥に出会うのは2年ぶりだろうか。渡良瀬の遊水地のような草原だがこちらのほうがハイイロチュウヒの出現率はいいような気がしている。潮受堤防の開門でもめていて毎日無駄な税金が双方に支払われている場所ではあるが、そんなことは忘れて何も考えずにただ鳥を見る、やはりこれがこんな所であっても今最も心やすまるように思えている。
こんな風にして今年も始まった。初詣は御子神社、志賀海神社、武雄神社で三社参りを例年通りなんとか果たした。さて、神々に誓ったようにいい年にできるだろうか。
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