アフガニスタンの黄金を九州国立博物館で見る
アフガニスタンの貴重な歴史的遺物が戦火を逃れて各国を回っている、それが福岡に来たというので見に行った。
九州国立博物館で1月1日から2月14日まで開かれたあと東京国立博物館で4月12日から6月19日まで開かれる。
2006年のフランスのギメ博物館に始まって米国ナショナルギャラリーやニューヨークメトロポリタン博物館、カナダ歴史博物館、ドイツ・ボン博物館、大英博物館、ノルウエーNTNU大博物館、メルボルン博物館、等数多くの世界を代表するような博物館を含めて各国を回り日本にやってきた。やっと来た、と言うべきかもしれない。福岡にいながら世界的行事に参加するという意味でも見たほうがいい展示だ。このあたりの地球的位置づけを主催者は十分には広報で説明しておらず歯がゆい思いがする。
展示物は予想以上だった。
紀元前2000年の金のゴブレットにまず驚かされる。金だからさ
びていないのは当然とはいえ美しい細工が目を引く。最近作ったと言われてもそうかと思ってしまうだろう。日本は縄文時代でそれなりの文化はあったとはいえとてもここまでのものはない。インダスーメソポタミヤーエジプト をつなぐライン上にあったこの地の文化の高さがすなわち人類の文明の最前線だったのだろう。
1978年に未盗掘状態で発見された墳墓から多くの金製副葬品が出土し、この場に展示されている、いずれも紀元前1-2世紀の時代とある。
その量の多さ、技術の高さ、豪華さに圧倒される。
アフガニ
スタンの貴金属や希少鉱物の埋蔵量は相当なものと言われており(1兆ドル相当との米国防総省の見積もりもある)、これが古代から繁栄を支えてきたのかもしれない。
それにしてもギリシア文化の影響が濃い出土品の展示が多い。仏教美術遺品は平山郁夫主導のアグガニスタン流出文化財の委員会が保全している遺物の展示が目立ったくらいだ。やはり西洋各国を巡回するという企画がそうさせたのだろうか。東西の文化が交じり合う状況そのものの全体像を見たくなる。
出口で「めざましテレビ」のインタビューを受けた。東京の展示はフジテレビが主催しているがいまから雰囲気を盛り上げようとしているようだ、平日ということもあるが人の入りは展示物の素晴らしさに比してそれほどでもない。気が気でないのかもしれない。
しかし、戦乱が休みないアフガニスタンでよくこのような財宝を維持し続けられたと、驚くばかりだ。この事そのものが、この地域のまた新しい歴史となると思えている。人類もまだまだ捨てたものではない。
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