ギリシャを旅する4-----エーゲ海1日クルーズ
ツアーの中にエーゲ海1日クルーズというのが含まれていて少しはエーゲ海の雰囲気を味わえるかと期待していた。
エーゲ海といってもそのうちのサロニコス湾と呼ばれるペルポネス半島とアテネのあるギリシャ本土に囲まれた海域で、クレタ島などのある東地中海をさしてよく使われるエーゲ海という響きからはややずれることにはなる。
双胴船で安定が良い上に波がとりわけ静かで滑らかな航海が始まる。
アテネのピレウス港を出港するところから岬の上まで白い
箱型の家で埋まった景色が現れエーゲ海の雰囲気となる。カモメが近くに見えるが足が黄色いもののウミネコではない、日本に帰って調べるとYellow-legged gullというカモメのようだ。日本付近にはいない種類で、海もカモメも同じようだがちょっと違うところが地中海らしい。
アテネ港を出たあたりがサラミスの海戦があったところに近いは
ずだが、なんでこんなところでペルシャ軍は海戦をするに至ったのだろうと思ってしまう。アテネ側がうまく仕掛けて海戦に引き込んで勝利に至ったのだろう。しかし静かな海だ。
イドラ島、ボロス島、エギナ島と順に回る。どれだったか、島に近づくと35ftから40ftくらいのクルーザーが2隻のんびりでてくる。こんな海ならいかにも遊べる海だ。正直こ
んな海でヨットで遊んでみたい。
島の港は観光客相手でにぎわっている。
海の水は港近くで見ると透明でキラキラしているが航行中はサンゴ礁のような明るい海ではない、当たり前のことだが、海を見るだけなら宮
古島の海がやはり綺麗だ。
食事が出たり踊りがあったりと前にハワイで乗ったホエールウオッチング&ディナークルーズに少しは似ているが、ツアーに完全に組み込まれていると何となく開放感が今一つの感じがしてしまう。そういうものなのだろう。何かを得ようとすれば何かを失う。ツアーで楽をしようとすると開放感が減ってくる、どうしようもないことだ。
エギナ島ではアフェア神殿を見に行く。パルテノンとポセイドンの両神殿と正三角形の位置にあり高さも同じに合わせていると船の中で説明される。本当だろうかと帰って検証してみる。
地図を見るとすぐわかるのだが明らかに正三角形ではない、しかしパルテノン=アフェアを底辺とする2等辺三角形ではあるようだ。少し大きな地図で見るとデルフィから南東に向かう大きな矢印となっているように見え、矢印の向かう先にはミノス文明よりさらに古いキクラデス文明(BC30世紀)を生んだキクラデス諸島が認められる。地球のへそといわれたデルフィとキクラデス文明をつなぐ何かを壮大に示し
ているようで極めて興味深い。エーゲ海には人類文明の源が確かにあるような気がしてくる。
アフェア神殿は小島の神殿とは思えない堂々とした作りだった。資材は本土から運び丘の上まで持ち上げて建造している、目にしている遺跡は紀元前5世紀で最初の神殿はもっと遡るのだろう。
エーゲ海クルーズは終盤となりギリシアダンスが始まる、喧騒から逃れて落ちゆく夕日をぼんやり眺めていた。
何も考えずに眼前の光景に向き合うとそこにはすべての
歴史が凝縮して流れていくようで、我々は古を繰り返しているだけではないのか、すべての答えがここにあるのでhないか、そんな気がしてきて時間の壁のない茫洋とした感じに浸るに至る、そんな感覚を味わうのにふさわしいのがエーゲ海の船旅かもしれない。
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