ギリシャに旅する2---アテネにて
アテネ空港にやっと到着したその足で即パルテノン神殿に向かう。旅行社のツアーは無駄がないというかなさすぎるというか、体力勝負のところがあるが、今回は腹具合のおかしいのを引きずっていてなおさら元気が出ない。とにかくスケジュールに従って動く。
アテネの街はどうなっているのだろうかと気にかけていたが拍子抜けくらいになんの危機感もない。エーゲ海を渡ってきた避難民の姿は全く見えないし、経済危機でホームレスが溢れるという風景も全くない。
バスの現地ガイド(日本人)の話では、経済危機でそれまで流れ込んでいたスリやこそ泥のような治安悪化の元となった人達がここはもう商売にならないとほかの国に移って行って、以前よりむしろ安全になったとさえ思えるという。その主張がそれらしく思える程に街はいたってノーマルだ。
3日後のエーゲ海クルーズの時にも聞いたが日本人観光客が一時よりだいぶ減っているという、これは風評被害と思われる部類ではないかとの気がしてくる。マスコミはマスコミのストーリーに合わない状況はあえて報道しないようにしているのかとも思える。来てみないとわからない。
アクロポリスの丘に登ってパルテノン神殿を見る。紀元前5世紀にこの巨大建築をこの高台に、というところに素直に驚く。地震のある国でこんな建築をよくやる気になった
と思う。とてもかなわないと思わせる力を見せつける建造物なのだろう。大理石が豊富にあるということも無論関係しているのだろうが。ピラミッドの超巨大建築の事を思えばこれくらいは驚くに当たらないというのが当時の感覚だったのかもしれない。
新アクロポリス博物館の3階には大英博物館に持ち去られた遺跡建造物を返してもらった時に入れ替える現物のレプリカが石膏で痛々しく展示してある。大英博物館で神殿の展示を以前見たことがあるが誰がどういってもこれ
は英国による強奪だ。そんなこともあって英国はEUに居づらいのかもしれない。パルテノンのすぐ北にあってこの地に残されているエレクティオン神殿の少女の柱像などは建築の構造の一部として見事に彫刻を用いていて2500年前ということは関係なく時を越えて美しい。
とにかくギリシャにも随分言い分は有りそうだ。
自由時間がわずかに取れた日にトラムに乗って街の中心
部のシンタグマ広場前まで出て国営公園からゼウス神殿辺りを散策してみた。トラムの切符は1.4ユーロで事前に停留所にある自動販売機で買えばいいのだが枚数などを順に選ばずに先にコインを入れると認識しなくてただ取りされてしまうとか紙幣を入れようとしても入らなくて苦戦していると見かねた人がお札はスタックして
いて入らないと手ぶりを交えて教えてくれたりもして日本のようにやさしい機械にもなってもいない。オリンピックを機にしゃれた市電ができたが作法に従わないと戸惑う代物のようだ。でも乗ってしまえばどこで降りるか景色を見ながら決められて安心だ。
国会議事堂裏の国営庭園に入ると鳥が多い。ギリシアの野鳥図鑑は買えなかったがシジュウカラやクロウタドリやアトリの仲間が忙しく飛び交っては啼いている。都心で野
鳥を楽しめるいい場所のようだ。
Zappion(見本市会場)を抜けてゼウス神殿に至る。ここも巨大な柱が並ぶ。よく2500年も残ったと思う。周囲の石積も磨かれた大理石で最近作ったと言われてもそうかと思えるほどだ。時の流れをどこか超越している。
近くにある野口みずきがゴールした復活第1回のオリンピックスタディアムにも入ってみたりぶらぶらして宿に戻る。ぶらぶらできる所は沢山あって個人で来た方がやはり気楽だったかと思う、安全度合いがそう思わせるのだろう。
楽な飛行機便さえあればまた来てもいいと思わせるちょといい街だ。
| 固定リンク
コメント