桂離宮を見る
紅葉の桂離宮見学は抽選で負けて果たせなかったのもあり、空いてくる桜の季節の直後を狙って、修学院離宮と同日に両方を見学できる空きのある日を探して、やっとの思いで見学許可を取得した。色んなことがあって3カ月が過ぎその日がやってきて京都に出かけた。
1日に両方を見るのは効率いいと思っていたもののやはり疲れる。
修学院離宮見学の後、中間の四条の祇園辺りでランチを食べ多少散策して14時30分
からの桂離宮の見学に向かった。
阪急の桂駅から歩くほかないのかとバス道に沿って歩き始めたところ目の前のバス停にバスがちょうど来て桂離宮口にもいくという。ほっとしてバスを利用する。Yahooの経路検索ではバス利用が出てこなかったので歩くほかないと思い込んでいた。広い無料駐車場があるのでクルマでこれればそれが一番のようだ。
4月から桂離宮の案内となったばかりという宮内庁の案内担当の方から説明を受けながら回る。とにかく忙しい。見るべきものがたくさんある、建物も石組も庭も歩を進めるごとに意匠が移ろっていく。見落とすまいと写真を撮っていると遅れて説明も聞けなくなる。客へ
の庭の見せ方がいちいち凝っている。例えば目隠しとなる生垣が上手く配置され視界を遮る松が植えられたりもして、開けてところに出た時の驚きを印象づけるようにしつらえてある。敷石が美しかったり、ツツジの配置が心地良かったりもする。
松琴亭というところに行く。デザイン的に目を引く襖、開け放てば柱だけのようにもなるスケスケの構造、はかなくも脆い。桂川のたび重なる氾濫にも耐えてよくここまで生き残ったと思う。
日光東照宮が作られたちょうど同じ時期に造られた、というがその粋さというか東照宮とは対局の軽妙さ、遊びがいちいち目を引く。
賞花亭という東屋ではすけている下地窓の棧の影が畳に落ちる様も面白い。ここまで仕組んだわけではないのかもしれないが、ほかではこんな様は見られない。
八条宮が細かく指示してこの離宮は造営されたと言われる。相当に思い入れがあったようだ。簡素なようで細部には異様ともいえる手のかけようがみられる。ひ弱な建築物だがいとおしさがある、壊してはならないという空気が取り巻いている。天皇家の雰囲気がある。 神社のような直線の美しさ清々しさと工芸の巧みを見事に取り混ぜて頗る頗る日本的な建造物だ。矢張り見るべき造形だった。
忙しい見学時間がたちまち過ぎ去り、駐車場辺りに待機していると教えられた客待ちのタクシーの姿ももうなく、とぼとぼと桂駅まで歩いて戻る。少々疲れた。印象が溢れていて纏まりがつかない、何回か訪れてみねば、とも思いながら歩く。しかしともかく九州からは遠い、それに体力もいる、もう多分来れないだろうな、見れただけでも上出来だな、そんな風にも思って桂駅を後にした。
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