エジプト航空804便の墜落
またエジプトに関連する航空機の墜落だ。前回はエジプトからロシアに向かう航空機
だったが今度はパリ発エジプト行きの航空機だ。もしテロならばパリ空港のセキュリティが疑われることになり影響は大きい。
事故の状況:パリ発カイロ行きの深夜便のエジプト航空機がクレタ島の南東付近の海上に墜落した。機体:エアバスA320-232
(145人乗りの機体)、エンジン:IAE V2527-A5 。機体は2003年7月の初飛行で12年10カ月の機齢、問題とするほど古いというわけでもない。5月18日21:09Z(現地時間23:09)、パリ・ドゴール空港を
出発。出発予定は現地時間22:45であったからやや遅れている。搭乗者は乗員10名(2:操縦士(飛行時間6,275hr)、副操縦士(飛行時間2,766hr)、5:客室乗務員, 3:セキュリティ要員)、乗客56名(30:エジプト人、15:フランス人、2:イラク人、以下各1:イギリス人、ベルギー人、スーダン人、チャド人、カナダ人、クエート人、サウジアラビア人、ポルトガル人、アルジエリア人)。当然のようにエジプト人とフランス人が多い、木曜の深夜便では観光客ではなくほとんどが何らかの用事をもった客と推察される、なんとも悼ましい。
クレタ島の南東沖地中海上を飛行中の19日00:27Z ギリシャ管制の呼びかけに応答せず、00:29 レーダーから機影消える その後の捜索でクレタ島南の海上から機体破片と遺体の一部が発見。機体の飛行データを記録したブラックボックスは未発見。付近の海は2000m程度の深さがありフランスとエジプトから潜水艦が出動して捜索中、というのが25日現在の状況だ。
機体からの異常を伝えるパイロットの通信は事故時無かった。飛行中の位置高度速度データについてはADS-Bのモニターデータがflightwareのサイトで公表されているが、37000ft,534kt,緯度経度は(33.6768,28.7912),進路方向137°のデータが00:29:31Zに送られて終了している。機器の異常を知らせるACARS(Aircraft Communications Addressing and Reporting System)データは00:26Z コクピット右窓の防氷およびコクピット・スライド窓センサー、に異常、トイレに煙感知 00:27 アビオニクス室(コクピットの下にある)に煙検知、00:28 コクピット右固定窓センサー異常 00:29 自動操縦装置のコントロルユニット2故障 00:29 フライトコントロールセクション3故障 の信号を自動発信した後終了している。
気象条件は、現場付近には荒天をもたらす雲の発生は認められないが高層大気からは当時ジェット気流がアフリカ北にあって事故時点で丁度これに突っ込む形でフライトが進行しており何らかの乱気流の影響があったことが考えられる。
事故原因はまだ明らかでなく、救難信号の発信もなく突然墜落したことから爆発物によるテロが疑われている。
ACARSデータからはコクピット内、恐らく右側のコパイ席側で突然火災か爆発が起こり、これにより窓のセンサーがまず異常を検知、コクピット内が火災か煙で管制にも応答できない状態となった、続けてコクピットのすぐ後ろのトイレの煙センサーが煙を感知、コクピット下のアビオ室にも煙が流れてこれを検知、火災のためアビオ室のフライトコントロール装置が次々に故障(破壊)し最終的に墜落に至ったと思われる。
飛行中コクピット内に煙が発生したというトラブルは例えば米国では年間1000件前後発生していると言われ、機体の何らかのトラブルによる突然の火災という線も捨て去ることはできないように思える。特に近年リチウムイオン電池の発火が多いと言われており、コクピット内に持ち込まれたパソコンか何らかの機器が乱気流による突然の機体の揺れで落下あるいは窓に激突・爆発的発火ということも考えられなくもない。
素直なのは何らかの方法でコクピット内に爆発物が持ち込まれ或いは仕掛けられてこれが爆発したとみる見方だが、テロ集団の犯行声明もなく、何故なのか、どうやってそのようなことができたのか、説明は難しいようにも思われる。もしかしたらパイロットの自殺か、とも考えられる。原因の特定は難航しそうだ。
何が起こったのだろうか。ブラックボックスの回収を何としても成功してほしいと思うばかりだ。もし機体側に或いは運航システムに何か対策すべきことがあるなら即刻なされなければならない。そうやって空の安全がまた向上することになれば全く無駄な死を重ねたということにもならないだろう、民間航空機という手段なくしてはもはや世界が立ちいかない時代になっていることは明らかなのだから。
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