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2016年6月 9日 (木)

見帰りの滝

日本の滝100選というのがあって、少し気になって選定の経緯をネットで調べた。
1990年に中央省庁の音頭の元、各地方自治体が推薦してきた滝の中から、勿論滝の研究家も1人入ってはいるが多くが特別滝に詳しいというわけでもないメンバーで選んだようでどうもうさんくさいところが感じられる。
九州では福岡と長崎が1件も入っていないが、両県には九州の他の県に較べていい滝が無いと言われればそんなことはないような気もする。どのような基準で選んだのだろうか。選定した「日本の滝選考会」はもう解散していて、選定基準はネットで大分探したが見つけることができなかった。
ともかく100滝のうち実際に見たのは10にも満たない。100名山は3分の一は少なくとも登っているのとは大違いだ。100滝も少しは見てみるかと近い唐津の「見帰りの滝」を見に行った。佐賀で選定された2つの滝のうちの一つだ。
Mikaeritaki1 福岡からは都市高速から西九州道を経て1時間半くらいで到着する。アジサイ祭りが始まる寸前でまだ交通規制はなく楽に行ける。
途中の無料駐車場の案内板を見てここに置いて歩くのかと沢に沿った遊歩道を歩き始めた。後から来た車はもっと上に行っているようでまだ上にも駐車場はあるようだ、しかし沢沿いの道も悪くない。歩いているとオオルリの声も聞こえてくる、ここらで繁殖しているのだろう。咲き始めたアジサイも色々種類があるようで楽しい。
30分位のんびり歩くと滝が見えてきた。
2段になっているようで下段の滝だけでも落差3-40m位あって十分見ごたえがある。
結構近くまで安全に寄れる。観光バスも来ているようで団体がぞろぞろ歩いていたりもする、観光地だ。
なかなかいい滝だ。滝の良しあしは何で判断するか、まずは水量も含めた大きさがあるように思うが、この滝は上部も含めた落差とそれを見渡せる景観かと思う。
ごうごうという音で少々人がいても滝と直に向かい合っている気分になるところが滝のAjisai いいところのような気がする、暫く雑事を忘れて茫洋としていられる。
またもとの遊歩道を戻って昼のおにぎりを食べた後クルマで戻る。
半日くらいの短い旅が楽でいい。

100滝の中ではこの「見帰りの滝」は見たインパクトとしては中くらいとの評価が幾つかのページで見られる。実際に見ると、北関東で見てきた100滝に入っている霧降の滝や華厳の滝、吹き割の滝、袋田の滝などに比べての見劣り感は否めない、更に、100滝に入っていない奥日光の竜頭の滝や湯滝より上回っているかと言われればそうかな、とも感じる。難しい。なるべく全国に散らばるよう選定しているとの政治的意図はどこか感じざるを得ないようだ。
100に限らずもっと本質的に滝の楽しみ方や文化を掘り起こすのが環境を傷めずに観光資源に光を当てていく役所の大事な役割のような気もしている。
結局は自分で直に見て感じるしかない、ということだろう、何でもそうだ。


ヨーロッパには緩い川が多く日本の河川はそのものが滝と言ってもいいと明治時代日本の河川事業の技術指導をしたオランダのデレーケが語っていたようで、日本のいたるところに滝がある。100滝といわず、滝だらけのこの有様も世界に誇れる日本の景観の一つなのかもしれない。
考えを巡らしていくと、100滝を選定して滝の良さを矮小化する役人の発想の限界に引きずられてしまうのは嫌だな、なんとはなしにそう思ってしまう。

この夏は滝を求めてあちこちで出かけてみるのも悪くない、そう思い始めている。

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