今右衛門・柿右衛門展
13代今右衛門・14代柿右衛門の展覧会が福岡三越で開かれているというので見に行った。
,有田で磁器を作り始めて今年で400年ということの記念イベントの一環らしい。自分
の中で名前だけが上滑りしている有田焼の今の姿を見定めたいという気持ちがある。この展は今年の正月に日本橋三越で開かれた後7月には広島三越で開かれていたものが福岡までやっとやってきたということのようだ、大阪はとばしているが大阪には三越が無くてこうなったのだろう、所詮百貨店の催しだといえばそうかもしれない、でもとにかく見たいという衝動があった。
結構人が多い。確かに素人目にも、これは、という作品が並んでいる。
13代今右衛門は襲名前には有田とは思えない全く現代的な焼き物も作っていたの
が展示されていて目を引く。1975年に襲名後は伝統を引き継ぎながら、吹墨、薄墨 という技法を開発するなど新しい現代的な境地を開いていてこれまでの有田とは異なる新鮮な感じを見るものに与える。
14代柿右衛門のほうは追い求めたリアルな草花のスケッチをもとに濃淡を入れた草花模様を構築している。こちらも濁手と呼ばれる乳白色の白地の伝統の上に現代に響く有田の姿を求め続けたようだ。それぞれにさすがと思わせる。
400年も続く伝統となればそれぞれに伝統の重圧はあろう、素直に事物と向き合い詳細なスケッチを繰り返し、自分なりの境地を開いていく、大変な仕事だとうかがい知る、それが心に響く。
13代今右衛門は2001年75歳で心不全で亡くなり14代柿右衛門は2013年78歳で癌で亡くなっている。天寿を全うとまでは長生きしなかったようだ、背負った重荷というものがあったのかもしれない。
近頃はものに心を動かされることが減ってきたと感じている。生涯をかけた作品を見る、こんなことでもしないと心が響いてくれない、思い返せば、見たいという衝動はこれだったのかもしれない、そんな風に思っている。
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