ランメルモールのルチア
オペラをこの秋もアクロス福岡に観に行った。何だかだんだんせわしない感じがしてきて家でもゆっくりオペラのDVDを見るのに時間を当てなくなったような気がする。オペラを生で観るということにも福岡に引っ越した直ぐの頃の新鮮な響きは無くなってきた。贅沢になったのかもしれない。謙虚な気持ちが少なくなったのかもしれない。
今年のオペラはハンガリー国立歌劇場によるドニゼッティの「ランメルモールのルチ
ア」だ、アンドレア・ロストというハンガリーのソプラノの歌い手が華のようだ。ベルカントオペラといわれる。ベルカント唱法のオペラで気が狂ってしまった主役のルチアが歌う、「狂乱の場」のアリアが有名だ。
舞台は17世紀のスコットランド、対立する家の妹ルチアと敵方の騎士エドガルドが恋に落ちるがルチアの兄はいやがる妹に裕福な貴族との結婚を迫り、結婚式の日ルチアは結婚相手の貴族を刺殺して気が狂って死んでしまう。エドガルドはこれを聞いて自殺してしまう、というのが大体の筋で、あまり楽しい話ではない。
登場する歌い手それぞれに歌は勿論うまいが見ていて気になるのが体型だ。皆かなり太目で兎に角体格が立派過ぎる。ルチアも結婚相手の貴族も樽の様だ。中東欧は20才を過ぎるとやたらに太ってくるという話は昔から聞くが本当にそうだ。
そんなこともあってこの悲劇にはどうしても気持ちがのってこない。オペラは演劇の視覚的要素も強いのでそういうことになるのかと思ってしまう。個人的には何だか申し訳ないとさえ思う。
オペラもいくつか観てくると無邪気に楽しめなくなる、何かを失って何かを得ているようでもある。こんなことを繰り返しながら生きていくのかな、そんな風にも思い返しながらふけいく夜の街を家へとクルマを走らせる
もう冬がそこまで来ているようだ。
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ドニゼッティ「ランメルモールのルチア」
2017年11月15日 アクロス福岡
指揮 バラージュ・コチャール
演出 マーテー・サボー
ハンガリー国立歌劇場管弦楽団・合唱団
ルチア :アンドレア・ロスト
エドガルド :イシュトヴァーン・ホルヴァート
エンリーコ :ミハーイ・カールマーンディ
アルトゥーロ:ティボル・サッパノシュ
ライモンド:クリスティアーン・チェル
アリーサ:エーヴァ・ヴァールヘイ
ノルマンノ:ゲルゲイ・ウーイヴァーリ
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