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2018年4月24日 (火)

「充たされざる者 」

図書館に予約していたカズオイシグロの小説の貸し出し順がまた回ってきた。今度は
「充たされざる者 」(The Unconsoled)の上・下巻だ、上巻が先に借り出せるような巧みなシステムになっている。

Unconsoled2b


とにかく読んでいく。
殆ど他人の夢の中を覗き見ている気分にさせる小説だ。
そうなのかどうか分からないが 著者がそのように仕組んだのであれば見事に成功しているといえる。

それにしても長すぎる。喋りがやたらと多いこと、脇道にどんどん逸れていくその繰り返しであること、そう思えばこれ位になってしまうのかもしれない。
作者の意図はどこにあるのか、最後まで分からない。読み疲れてしまうところがある。

意図がわからないと言えばついこの間聞いた九響によるブルックナーの第5番を思い出してしまう。パッとしない主旋律の単調な単純な繰り返しと突然の魅力のない変化、作曲者の意図がどうにも解らない。ブルックナーは交響楽団によるこ曲の演奏を聞かずじまいで亡くなったという。本人が聞いていたならあちこち手直ししたに違いないと思ってしまう。はっきり言ってつまらない、そう感じる。

カズオイシグロのこの小説はこれとはだいぶ違う、それどころか怪しい魅力が潜められているのさえ感じる。読者の内面に長い夢を見た後のような まるで辻褄は合わないが引っかかる不思議な感触を残す。
こんな小説は読んだことがない、カフカの小説のようだという評も見かけるがカフカはこのような溢れるばかりの語りで満たされている文章ではない。
読んでいる者自身が辻褄の合わない世界に実は棲んでいるのではないか、辻褄の合わない事だらけというのが真実の世界なのではないか、気がつかないふりをしているだけではないか、そんなことを次第に思うようになってくる。
面白い小説だ。ブルックナーの5番は人に薦める気がしないがこれはそんなことはない、一回は読んでみていい小説だ。

カズオイシグロの世界は思っていたより遥かに立体的でなかなか面白い、次に順番が回ってくる本は何だろうか。

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