日本海周遊クルーズその2
コスタクルーズによる日本海周遊の旅は天気が今ひとつだったもののクルーズ船の旅は初めてで色々思うことがあって、もう少し書き残しておきたい。
最初の寄港地舞鶴に船が近づくと突然海の色が茶色の領域に突入した、大雨で河川が運んだ濁流の先端がこんな形で海に及んでいるということのようだ。普通では見られないものを見た思いだがちょっと複雑だ。
豪雨のため船が提供する寄港地ツアーはすべて中止とのアナウンスが着港前にあった。舞鶴港では寄港地ツアーは利用せずクルーズセンター近くのレンタカーを予約していたが着岸の少し前に電話で様子を聞くと 天橋立方面は道路状況が難しい、港の周りなら動けるという話だった。豪雨の被害が広がっていて舞鶴にも豪雨の帯が及んでいるようだ。港に設けられた舞鶴の歓迎コーナーでオリックスレンターの窓口はと聞くとすぐ出たところだとある、外に出るとすでに数人が手続きをしている、ツアーがキャンセルになって慌ててレンタカー調達に走っているようだ。ともかく営業店まで送ってもらってレンタカーを受け取る。ここは港でレンタカーを直ぐ借りられるところがいい。金沢や浜田はその辺りができていないように見える。
走り出してすぐ近くのコンビニでまずは傘を買う。船にコンビニがあればと思ってしまう。そういう時代だ。
雨はそこそこの強さではあるが豪雨という降り方でもない、着岸した西舞鶴港から峠
を越えて東舞鶴港地域にある赤レンガ倉庫を見に行く。駐車場で降りると港の自衛艦艇群がどうしても目に付く。護衛艦なのだろうか現代的な船の上で何かのセレモニーが行われている風にも見える。(後で調べると DDH-181 ヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」だった、いわゆるヘリ空母だ)。他にも所狭しと自衛艦がいて軍事用の艦艇を置いておくには入り組んでいい港になっているようだ。舞鶴は戦前から海軍の街として存立していた
街のようでもある。今は重要文化財となって観光に公開されている赤レンガ倉庫群も全て旧海軍の建物という。土産物も海軍カレーなどが目を引く、そうはいっても展示には軍事色は殆どない、妙に気を使っているようでもある。
赤レンガパーク用とされた駐車場からは結構歩く、こんな雨の日はすぐそばの市役所の駐車場に置けばいいようでもある、多分一度でも来た人はそうするだろう。そのあたりに観光客には来てほしいが日常生活は害されたくないという心情がにじんでいて微妙でちょっと面白い。
一通り博物館も見て少し先の引揚記念館に向かうところで雨が強くなってくる。記念館は5km位離れているようでこのまま強い雨が降り続くと往復している間に小さい川が氾濫しそうだ。橋が一つでも通行止めになると帰れなくなる、これはまずいと途中で引き返す。この短い時間の間でも川の水かさは着々と増しており赤レンガ倉庫近くの松島橋あたりでは氾濫までもう余裕がいくらもないのが見てとれる。緊張しながら急いでレンタカー屋に戻り船まで送ってもらう、なんとか戻れて一安心だ。この後夜10時出航予定だったものが翌朝6時半まで出航延期とするとのアナウンスがある、後で聞くと港湾当局の安全上の指示だったという。確かに洪水となれば川から何が流れ込んでくるやもしれず嵐の暗闇での出航はリスクが大きい。
翌日は金沢だが着岸は5時間半遅れとなって素早い観光が必要になる、ここは寄港地ツアーを利用することにして急遽申し込む。何もなければ路線バスと徒歩でゆっくり回る積りだった。未曽有の豪雨でどうしようもないが選択肢が残されているだけましだ。
7-8年前に年末宇都宮から福岡へクルマで移動するときに金沢周りで計画したが出発寸前で豪雪で高速が閉鎖されそうとわかり急遽奈良経由に変更し金沢に行けなかった思い出がある、金沢は鬼門だ。船だから行けるだけでも有難いと思わねばならない気がしている。
13時半に着岸してツアーバスでひがし茶屋と兼六園を巡る、雨は降っているが大したことはない。武家屋敷も見たかったが、2箇所だけになって却ってゆっくり歩けていい感じともいえる。後で調べるとこの日は1万2千歩くらい歩いており十分過ぎる散策だ。
ひがし茶屋はいわゆる廓の街並みなのだが殆どが芸妓だったことからポジティブに観光地として生き残ったようだ。建物内部を公開しているところがあり入って見るが写真は撮れない。綺麗にこじんまりと纏まっているところが日本の伝統のコアを伝え残しているようではある。
兼六園は雨で濡れて美しい。雨でもまたそれなりの美しさをみせてくれるところが素晴らしい。いい庭だ。瓢池のほとりにある夕顔亭で抹茶を頂く。静かな午後の時間が流れる。
船に戻って予定通り18時頃出航し暫くすると船長主催のカクテルパーティーが始まる。ドレスコードはフォーマルの夜で、ネクタイ・ジャッケットとするがスーツの人も結構いる。いかにもクルーズ船らしい。そのままディナーに移ってこの日は終わる。
随分いろんなことが立て続けに起こってくる。のんびりするはずのクルーズの旅でもこうだ、旅らしい、これがいい。次は浜田港だ、旅は続く。
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