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2019年6月27日 (木)

ボロ-ニャ歌劇場のセビリアの理髪師を観る

ボロ-ニャ歌劇場の今回の日本公演の最後のステージ「セビリアの理髪師」をアクロス福岡で昨晩観た。
とにかくうまくて楽しくてさすがと思わせる舞台だった。
Acros3 ルマヴィーヴァ伯爵役のアントニーノ・シラグーザは今回でこの役が350回目と最後に表示されて拍手が一層高まる。本当にはまり役だ。
舞台装置も面白くて第1幕の終わりの混乱する場面ではインディジョーンズばりの大球が転がり出てくるなど予想外の仕掛けが楽しめる。。
歌が達者な上に観客を楽しませる小細工もしっかり織り込まれていて、騒ぎが起こっている場面にノックするドアに”誰”と日本語の返事を混ぜるところなどサービス満点だ。
とても楽しくイタリアらしい歌劇だが、どうしてもフィガロの結婚とつなげてみてしまう。モーツアルトのフィガロの結婚の方はフランス革命のきっかけを作ったともいわれるほどに貴族をこき下ろしていてそこに痛快感がある。アルマヴィーヴァ伯爵が完全にこけにされる。
一方でこのロッシーニ作のセビリアの理髪師はナポレオンがワーテルローの戦いで完敗した直ぐ後の1816年に初演されていて、貴族の復活という時代の転がり方が如実に出ているように思える。伯爵が大事なところで権威をかざして恋を成就するのを肯定的に捉えていてこれが大いに受けたところにその時代というのを感じてしまう。元の戯曲はボーマルシェによって
フィガロの結婚を含めた3部作として1775年に書かれていたがナポレオンの没落で急いで喜劇オペラとしてSiviglacast 曲が書きあげられ発表されたところが歴史を見ているようで面白い。
今の時代はこんな機転の利くオペラが書けるほどにオープンなのだろうかとさえ思ってしまう。
今はどんな時代なのだろうか。終戦という外からの強制された変革の時代は終わり”アンシャンレジューム”に戻りつつある、どちらかというとセビリアの理髪師的な色が付き始めた時代なのかもしれない。

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