夏至がくる
気象のデータをあれこれ見ていくのを暇つぶしのようにやっているが、毎日のように発見があってそれなりに面白い。それにしてもデータを見ていくだけでも何かと手がかかる。
気象庁の出してくるデータで気象予測に使うものとして短期のMSM(Meso Spectral Model )と呼ばれるデータと中期のGSM(Global Spectral Model)と呼ばれるデータがある。これを毎朝読み出してエクセルで見ている。
常に改良が施されていて、この3月から予測期間が長くなり MSMでは51hr先までの予測が9時基準と21時基準とで日に2回リリースされるようになった。これまでは39hr先までだったので3割くらいの延長だ。但し12hr毎なので改善もいまいちの感じはある、6hr毎に39hr 先までのデータが出されるのはこれまで通りで時々おまけがあるようになったという感じだ。とにかくこれに合わせて表示用のエクセルのプログラムを改変する必要があるが久しぶりに改修するので少々てこずっ てしまう。GSMは84hr先までが132hr先までに昨年伸びた。ちょっと面倒なのでほっておいたが見れるようにこれもついでにソフトを変える。こちらの方が結構使いでがあるような気がしている。1日仕事位でまあできた。でも歳とともに疲れが増す。(左MSM51hr,右GSM132hr).
気象といえば天気図だ。パソコンでSYNOPなどの 地上観測データをその都度読み込んで天気図を 書くに は自作の半手動のソフトでは手順が厄介でしばらくお休みしていた。そうはいっても観測デー タは見たいので最近は高層ゾンデデータ(米wyoming大で纏められている)を地上付近の高度250mで補間で切り出して気温や気圧や風を重ね書きして地上天気図の代わりにしている。とにかく手順は圧倒的に楽だ。これでは太平洋上のデータが殆どなく不 完全なのだが、しょうがない。わかる範囲で感じるものを提供してくれると思えば役に立つ。
250m高度のこの天気図で最近そうかと思うのは気温分布の変化だ。冬の間はシベリア奥地は極寒のデータを示していたが昨今では九州より暑いくらいのデータとなっている。(左図、薄青0℃-10℃、だいだい10-20℃、赤20-30℃、濃い赤30℃-)
何なんだこれはと思って全球のGSM850hp温度分布の季節変化などをダジックアース表示で地球全体として眺めていると、今年が特別でなくて毎年こうなんだと思えてくる。
夏至が近くなると高緯度地帯は白夜になって夜の気温が下がらなくなる、日が沈まないと加熱一方となってみるみる地上付近の気温が上がってくる、これがデータにでてきているようだ。
北半球の大陸は夏至が近づいてくると熱がたまってきて海沿いの日本などよりずっと気温が上がってくる、当然のことだ。
前線を引くには等温線や等相当温位線が頼りになるのだがこんな状態では大陸上に引かれる梅雨前線と洋上に引かれる梅雨前線では随分と性格が違いそうだ。大陸まで梅雨前線を伸ばしてしまうのは考え物かもしれない。
とにかく気温分布が気になる。 去年の北半球の気温と比べて昨日今日のこの気温分布はどう違うのかを比べてみると、どうやら高緯度地帯特にオホーツクから北米に至る地帯で今年は気温がやや低いように見える(左図上、左が去年右が今年、黄色のエリア(6-12℃)が今年の方が広い)。エルニーニョかと太平洋上の気温を比べればこちらは今年の方がやや高温だ(左図下、18℃の等温線で囲まれれたエリアが今年の方が広い)。
赤道付近は温暖化、太平洋の北部は寒冷化ということになる。
このところ毎年思っている感触と一致する、温暖化は緩やかに進むが寒冷化もやはり進んでいる、という状況のようだ。太陽の公転軌道のブレによる日射の増減が歴史的には氷河期の周期をもたらしているとされるが第4間氷期も終わりに近づきやはり氷河期への傾斜が始まっているようだ、一方で温暖化ガスによる気温上昇もやはり起こっている、地球上で同時に寒冷化と温暖化が起こっている、そう考えた方がよさそうだ。たったこれだけのデータではいかにも先走りだがこの10年位の気象の変化、気象の過激化の背景にはそんなことがあると考えていた方がよさそ うに思えてならない。
今起こっている気象災害の過激化はまだ序の口なのだろう、人類が生き延びるにはどうすべきか真剣に考えざるを得ない時代がまもなくやってくるのではなかろうか。
気象を眺めていると時がどんどん過ぎていく。パソコンを見るのにも体力も持たなくなる。やろうにもできなくなる、手足が動かなくなる、頭が持たなくなる、こうやって歳を取っていくのかな、そう思う日々が流れていく。受け容れる他ない
とにかく夏至がくる。
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