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2019年8月26日 (月)

アムンゼンの南極点征服を読む

 

厳しい暑さが続いたかと思えば雨ばかりの日々となってこの2か月余り出かけることがめっきり減った。更にはこのところ左ひざを痛めたのもあっていや増しに動きが鈍っている。こちらは医者に見せると変形性膝関節症ではないかという、そうかなあ、と疑ってみるが所詮痛み止めをAmunzen 貼るだけだ、自然治癒を待つ他ないようだ。
とにかく家に居てばかりの日が続く。暇つぶしに本でもとここ数日はアムンゼンの南極点征服の手記を読んでいた。1911年12月14日に人類初の南極点到達を成し遂げたその時の記録だ。
南極は行ってみたいところの一つだが費用も時間もかかってエイッと出かける踏ん切りもつかない。なんとなく時が過ぎてしまっている内に体が次第に動かなくなってきて近頃はもう南極はとても無理かなとの気がしている。100年以上前によくぞ南極点まで到達できたものだとの想いがあって読み始めた。
読むと相当の冒険だったのがよくわかるが計画や装備が寒さやエスキモーの知恵をよく吸収していたノルエーのチームだったからこそできたという実態が伝わってくる。リアリティがある。同時期に南極点に向かった英国のスコットとは随分と心構えが違うようだ、あちらは軍人で国の威信を背負っていたようだがこちらの方が随分ナチュラルだ。
アムンゼン隊の極点に向けての移動手段は犬ぞりとスキーがそのすべてだ。スコット隊は馬を使っていたが極地で馬が耐えられるはずがなく装備もちぐはぐで誤算続きだったようだ。
スキーはノルディックスキーという言葉があるくらいでノルエー人にとっては幼い頃から慣れ親しんだお手の物の移動手段でこれに100匹を越えるエスキモー犬を準備して南極に向かっているのはこの時代としてはベストの組み合わせと思える。防寒用装備もエスキモーの知恵に従っている。
それでも大変な行程だったようだ。まずは果てしなく続くクレバスに何度も落ちながらかろうじて切り抜けている、よくぞ神経が持ったと思う。スコット隊は1908年に英国のシャクルトン隊が南極点まで180kmのところまで迫ったときに使ったルートを使用していたがノルウエー隊は直線距離で短い新しいルートを使っていた、それだけに未知の困難も多かったようだ。
そもそも両隊とも当然のように南極で越冬した後に極点に向けて出発しているところからすごい。十分な準備の荷物と探検隊を降ろした後、船は南極をいったん離れている。後戻りできない冒険だったようだ。極点近くは標高3500m近い高地になっていて立派な山もある大陸という景観だということもちょっとした驚きだ、もっとだらーとした陸地かと思っていたが起伏に満ちているようだ。よくもこんな所をと思ってしまう。緯度測定は基本的に太陽の高度を図る天測航法だ、これで往復で95日かけて直線で計2500kmの距離を移動しえたということになる、驚くべき探検行だ。
途中でエスキモー犬をいくらか食べながらも進んだことが普通に書かれている、それも計画のうちだったようだ。そういうギリギリの探検行を平然とやれる精神がこんな旅には必要なのかもしれない。現代ではむしろもうできない旅なのだろう。

緩み切った生活を送っているとこんな記録には刺激を受ける。今からその10000分の1でもできることがあるのだろうか、そうも思ってしまう。

ありのままに生きていくしかない、そうなのだろう。また夏が終わっていく。

 

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