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2020年8月16日 (日)

コロナの日々は気象のことでも


先日、気象予報士会のリモートの支部会(ズーム会議 )で線状降水帯の説明があって、そうだったのかと少しわかった気がしたが、線状降水帯発生条件のところに出てきたFLWV(Flux of water vaper)の日々の計測値は一体どうなっているのだろうと気になって、この値をゾンデデータから計算してマップに書いてみようと始めた。
立方米当たりの水分量(gr/m3)に風速(m/s)を掛けた量で表される時間あたりに流れ込んでくる水分量がFLWVになる、この値が150を超えると線状降水帯が出来やすくなるという。作図はこれまで描いていた混合比分布図(大気1㎏当たりの水分量(グラム)の分布図)を風速や大気密度を掛けて改修すればそんなに面倒なことはなくできそうではあった。
混合比や気温分布図はこれまで地上に準ずる高度として250m高度で切って作図していたが、文献ではFLWVは500mでみているようなので高度が少し高い、500mで風や気温・混合比・気圧等を改めて切ったデータを作ることから始めた。エクセル上の補間でゾンデデータから作ればいいので難しくはないが思い出しながらやるのでそれなりに手間はかかる。
MSMによるFLWVの予測値と実測値の鉛直方向比較も福岡について毎日やってみることにする。福岡という街は計測データが高度方向にもあって都合がいい。1日仕事で図ができ始めるとそれなりに面白い。

2020081118kinou まずMSM計算のFlux予測値との比較だがその日の午前3時JSTベースの21時JSTのMSM予測値とその日の21時JSTの実測値とを比較してみると、地表付近の風速分布の予測精度があまり良くないせいで結構合わない。予測はまだこんなものなのだろう。また250mで切ったのではやはり下過ぎるような気もする。
マップのほうでは、混合比は特に大きくないが風速が大きくなるところでFluxが大きくなってしまって、ここでは雨は降らないだろうというところもFlux大と表示されて見やすくもない。手始めに見てみた13日の図では中国東部から朝鮮半島に延びる線状降水帯様な状況はFluxの高まりで確かに検出できるが、同様にFluxの大きい八丈島付近では雨は計測されず勿論線状降水帯もできてこない、一つの可能性の資料としてみる位のような位置づけとの気がしてくる。混合比図に書かせてある風ベクトルを眺めてここらあたりが風も集中し湿舌も伸びてきて危なそうだとした方がリアルでわかりやすいような気もする。
202008132122ame 2020081321jstflwv 手間が増えるがともかく暫く見て行こうと思う。今年は日本だけでなく中国から朝鮮半島にかけて線状降水帯が現れやすくなっているようにもみえる。自分で作図するとまた新しい感覚で気象を眺められるのが面白い。

こんな風にコロナの日々は淡々と過ぎていく。

図は右上FLWV予測計算値(MSM)と計測値の比較、福岡8月12日21時JST

上左8月13日21時-22時降水レーダー計測値、下右8月13日21時500mのFLWV計測値(青線)分布、黄色エリアは150g/m2/s以上。

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