ベートーヴェン生誕250年で今度は「英雄」を聴く
今年は1770年生まれのベートーヴェンの生誕250周年にあたり、ベートーヴェンの曲をコンサートで聞く機会が多い。コロナでなければもっとベートーヴェンだらけの年だったのだろう。
山口百恵が引退して40周年となる年でもあってこちらも何かと取り上げられているが、何といってもベートヴェンだ。
先週末は九州交響楽団の 演奏による交響曲3番「英雄」をアクロスで聴いた。先月のピアノ協奏曲5番「皇帝」がなかなか良かったのでついキップを又買ってしまったという次第でもある。
プログラム的には最初に演奏されるアンドレイ・ガヴリーロフのひくモーツアルトピアノ協奏曲20番が目玉のようではある。アンドレイ・ガヴリーロフという人は不勉強でよく知らなかったが46年前18才の若さでチャイコフスキー国際コンクールに優勝した経歴を持つロシア人という。かなりの才能あふれる人の様だ。優勝した当時はソ連時代で障害も多く1984年にはソ連を離れて欧州に移り演奏活動をしていたが1994年から7年間自らの意思でピアノに触ることもない生活を送ったという。ちょっと変わっている。2001年に復活して昨年18年ぶりに来日し好評だったらしい。今年はコロナで外国人の入国規制があったが段階的緩和で10月1日にやっとビザがおり、今回の来日コンサートとなったということのようだ。福岡の後は武蔵野、大阪その後東京とあちこち忙しく巡る。
さて演奏だ。モーツァルトの20番は柔らかいタッチで始まるが次第に激しくなりついにはピアノが壊れんばかりに弾く。左手が強すぎではないかと思ってしまう。彼なりの解釈での表現なのだろう。
万雷の拍手にアンコールを2曲演奏した。後で調べるとプロコフィエフの悪魔的暗示 作品4-4及びモーツァルトの幻想曲 ニ短調 K.397ということだったがここでも輪をかけての激しさを披露した演奏だった。ほとばしるものが過剰な印象を受けてしまうが新しさを感じて面白い。
さてベートーヴェンの英雄だ、有名な曲だがオーケストラを生で聞くのは初めての気がする。
オーケストラの配置で目につくのがチェロとコントラバスの重みだ。チェロは8本、コントラバスは6本で重低音に重みを付けている、さらにチェロはいつもより前に出ているようだ。それにしてもこの50分を越える交響曲というのは少ない、ベートヴェンの交響曲では第9の次に長い曲だ、しかし聴いていて長いとは感じさせないところがある、展開のテンポが良く次々に新しいメロディラインが湧き上がってくる、英雄とはこんな曲だったのかと改めて気づかされベートーヴェンの確かな才能を感じさせてくれる。19世紀の初頭に書かれた曲だが確かに未だに名曲だ、人類は大した進歩をしていないとも感じさせる。それにしても演奏そのものも音が良く出た心に残る演奏だったと思う。
総じてこの日はいいコンサートだった。次第に日常が戻ってきているような気もする。
こうしてコロナの先に新しい時代が生まれてくるのだろう。
| 固定リンク
コメント