柳川へ蒲鉾を買いに
歳末になると大した正月行事があるわけでもないが何かと気ぜわしい。こんな時に思い出すのがもう10年以上も前に大往生した父が存命の頃年末になると柳川に蒲鉾の買い出しに出かけるのが決まりのようだった記憶だ。福岡から柳川までに出かけて行くほどの事なのかという気がしていたが、最近になって一度行ってみるのもいいかと思うようになり少し調べてみた。
西鉄急行電車(大牟田線は昔からこう呼び ならしていた)で柳川まで行っても駅のそばに蒲鉾屋があるわけでもない、どうしたものかと思ったがもう少し調べると、柳川市とみやま市の境目当たりの中島という駅のそばには蒲鉾屋があり近くに矢部川の中島漁港があるためか朝市がいつも立つというのでも知られているとわかる、ここに行ってみるかとの気になった。電車賃は片道8百数十円かかるが市から交付された高齢者乗車券で十分カバーできる。自宅を出て2時間くらいで行けるようだ、天気もまずまずの月曜に出かけてみた。最近はコロナもあって電車に殆ど乗っていないがどんな様子だろうというのにも興味があった。
乗り換えを間違えて二日市から特急に乗り継ぐ、大体2人席に一人で座っている感じで乗客同士の距離は保たれている、コロナの恐れは感じない。
乗ってちょっと驚いたのが単線区間が久留米から先の所どころにあることだ。全部複線とばかり思っていた。柳川で特急から普通に乗り換えて三つめが中島駅だがここも単線区間にあり、すぐ手前に特急と離合するための待避線が設けてある。見通しのいい直線部分だから間違いは起こりにくいとは思うが駅でもないところですれ違うのはあまりいい気がしない。
ここらの沿線の景観は一面の田んぼが広々と眺め渡せる、そんな訳で気持ちがいい。無聊対策に持って行った文庫本は開かずじまいで景色に見入っていた。
中島の駅で降りる、無人駅だ、改札は乗客が無人のICカード読み取り機にかざすだけでチェックはなく通れてしまう、いいんだろうかという気がする。
駅前に道を聞けるようなところもなく朝市はこの あたりか、という方へエイッと進んで朝市を探す。こっちかなという方向に進んでいくと案ずることなくたどり着く。あまりにぎわってもいない、コロナのせいか。数の子、さかな、貝柱の粕漬など買う。目指す蒲鉾屋、江口蒲鉾には矢部川の浦島橋を渡るが、橋の上からホシハジロやよくわからないシギが見える、後で調べるとキアシシギの様だと思ったがイソシギのようでもある。今頃こんな所でキアシシギに出会うとはと思う、一応夏鳥だ、やはりイソシギだろうか。
蒲鉾屋ではスーパーには無い蒲鉾が色々あってあれこれ3000円位購入する、保冷剤ももらって持参の折りたたみ式クーラーバッグにいれる、用事はこれで終わりだ。まだ11時前で昼食にははやいし大して見るところもないので帰ることにする。中島駅で電車待ちしていると南側の矢部川にカモメが飛んでいる、セグロカモメの様にも見えるがよくわからない、でもいい景色だ。
2 時間弱で13時頃帰宅。バス停から戻る途中のサイラーパン屋で昼食用パン調達、結局遅めの昼食を自宅でとった。
年末の半日の短い旅だったが久しぶりに旅した心地がした。コロナの時代にはそれなりの旅の形があるようだ、日常から切れて未知の街を訪れることは短くても楽しい。
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