気象を眺めて過ごすのも楽ではない
10数年前に気象予報士の資格を取って以来毎朝MSM,GSM,高層気象データ等の各種気象データをネットで取得して,処理して眺めて、自分なりに現状の気象の理解と先の予測を行っているが、このところ気象データの出方が優しくなくなって時間がかかってきている。
気象庁によるMSMやGSMの数値データは変わらず京大のサイトから取得できているが、計測データである高層 気象データやアメダスデータ、世界各地のsynopデータなどはサイトの都合でデータの取得が容易でなくなったり、便利なサイトが消滅したのもあって、以前より随分手間がかかるようになってしまった。
今年3月からアメダスはエクセルから直接サイトデータを取得できなくなった。今はパソコンにデータを取り込み使うには一旦手作業で各地のデータのページをhtmlで保存してこれにエクセルから アクセスするように手順を変えている、GMSやMSMの答え合わせとして用いる位の範囲ならそう大したことでもない。アメダスで局地天気図(例えば右図)を書いてみるのが福岡というこの地方の気象の理解には大変有効と思って使っていたのだがこれに使う約40地点のデータを手作業で保存していくのは相当に手間で、まだ困っている。UWSCというソフトを使えば取りあえずの自動化はできそうで試しに数点の取り込みをやらせてみたが相当に遅く並行作業もできないのでまだ全面適用には至っていない。力技の日々が続く。
暫く手こずっていたのが高層気象データの中国からのデータだ。世界中の高層気象データ(気象ゾンデのデータ)をまとめて見やすいデジタルで出している米国wyoming大のサイトからは中国のデータが2020年の1月から全て除かれて、別のogimetというサイトから生データである暗号の様なTEMPデータを読み込んで処理していた。今月に入って中国のこのデータが、公開されている仕様とは少し違った表記を含むようになって、うまくグラフ(例えば下左図の様な、気温、風速風向、相当温位の高度変化)が書けない日々が続いた。地上付近のデータを含まなくなったり、TTAAと称されるデータ群では決められた気圧高度のデータだけで構成する約束のはずがそう でないデータも時々含むようになったり、という調子だ。地上のデータは別途synopデータを読み込むようにしたり、中間的な気圧高度データはそれなりに使うような手順を挿入したりしてなんとか動くようになった。しかし何しろエクセル処理でやっているので出来ることには限りがある、ここらが限界だ。
世界各地の地上データについてはこれまで処理済みの見やすいデータが英国のweathercastのサイトにあってこれをエクセルで直接読み出して使っていたが、数か月前にサイトごと無くなってしまい、今は地上データも暗号のようなsynopデータをogimetのサイトから一々読み出し物理量に変換する手順でエクセル取得している。手間の増加はかなりだ。
ここへきて世界各サイトで変更等が重なったのは多分サイトのセキュリティ上の問題があったのだろう。シンプルな時代は終わりつつあるようだ。個人でオープンに情報を取得・処理するのはもう時代が許さなくなっているのかもしれない。
しかし更にこれを突き抜けた先には個人がすべてにアクセス出来て存分に楽しめる時代があるよう思えてならない。まだまだ人類の技術は幼稚な段階なのだろう、1000年先が見てみたい、そればかりだ。