コロナと音楽と
コロナの時代の出来事を書き残す上でコンサートの状況も外せないように思っている。
2週間ほど前にアクロスのランチタイムコンサートとしてチェロリサイタルがあって出かけた。
昼食はアクロス地下2階のそば屋でごぼてん蕎麦をたべる。客はまばらで感染の恐れは感じない。それにしてもいつも思うが店員さんは気が気ではないだろう、感染の恐怖を抱きながら生計のためには客は来てほしい、いつまで続くのだろうかこの試練は。
コンサートの方は
チェロ/広田勇樹 ピアノ/矢野雄太
二人とも名前は全く知らなかったが経歴を見ると若手のバリバリのようだ。
主演奏者であるチェロの広田がマイクで話す、こんな形はクラシックの演奏会では以前はあまりなかったが増えてきたようにも思う。この時期の演奏会を可能にしてもらったことに心から感謝しているという、そうだろうと思う。不要不急の外出は自粛といわれると文化的活動は何もできない。関東が活動の拠点のようだが、福岡の弦楽器屋、まつもと から古い時代のチェロを入手、これで演奏していて、福岡に縁があるという。いい音色だ。
席は前から4列目左側、よく見える、1席おきの配置だ。それなりに席は埋まっている。
曲目は
サン=サーンス:動物の謝肉祭 より “白鳥”
ベートーヴェン:魔笛の主題による7つの変奏曲 変ホ長調WoO.46
間宮芳生:チェロとピアノのための「六つの日本民謡」 より “ちらん節”
プロコフィエフ:チェロ・ソナタ ハ長調 op.119
アンコール曲目
ラフマニノフ:チェロ・ソナタ ト短調 op.19 より 第3楽章
アイルランド民謡:ダニー・ボーイ(ロンドンデリーの歌)
ベートーヴェンによる魔笛の主題変奏曲がいい。ソルによる同名のギター曲があるがそれとは全然違う、伴奏のピアノがぽろぽろと控えめなのがプロフェッショナルさを滲みだす。チェロの響きがいい、ここちよくて、眠くなる。
プロコフィエフのソナタもちょっと面白い。完全なデュオだ、控え目なピアノとチェロがうまくからみあっている。
アンコールは2曲だが、もったいぶらずにそさくさと自分のペースで演奏、若い。若さが好ましい。
ちょっといいコンサート聴けた心地がした。
数日前、深夜番組であるBSのプレミアムコンサートの録画ビデオを見ていたらバイオリンの弓のドキュメントが放映されて少しばかりの驚きがある。、こんな世界があったんだ。パオ・ブラジル(ペルナンブコ)という、ブラジル特産のブラジルという国名の由来となった赤い木が弓の木として最も適していて、入手が難しくなってきたのをきっかけに欧州の弓製作者の団体が寄付を集めブラジルで植林プロジェクトを展開しているという。楽器本体と弓と弾き手の組み合わせがいい音楽をリアルに作ることでその世界が保たれている。パオブラジルが弓に使われるようになったのは200年も前からと語られていた、長い。
コロナはたっぷりの時間を提供してくれている。新しい目で世界を見直したり、深く考える時間を多くの人が持つことから、新しい飛躍がそこに待ち受けているのかもしれない。
100年経って今を振り返りたい。
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