梅雨前線を引くのが
梅雨も終盤を迎えてあちこちで豪雨被害が出ている。
気象を眺めていてこの時期頭を悩ませるのが梅雨前線の引き方だ。通常の温帯低気圧、古典的ないわゆるベルゲン学派モデルの低気圧、では暖気 と寒気の境目は気象データから読みやすく、その境目である前線を引くのはそれほど困難なことではない。しかしこの時期の梅雨前線はその上下が注目される割に気象データや数値予測データから前線位置を見定めるのはそれ程容易ではないように感じている。前線前後の気温の差もそれ程明瞭ではなく相当温位の分布図も多分に入り組んでいる。よく気象庁は引いているよと思うことがこの時期多い。
例えば今年7月10日21時(JST)の前線位置は速報天気図では図のように示され、これを解説した短期予報解説@12日am3ではその下の図のように今後の動きの予測を示している(図の数字(FT)は10日21時から何時間後かという値)。この予測図のもととなったであろう850hp相当温位の予報図をみると相当温位線が集まったところを拾っても前線位置にはならない(さらにその下の図)、薄っすら見える風の変わり目がその根拠のように見える。しかし気団を分ける前線がこんなフワフワしたものかとも思ってしまう。もう少しマクロに500hp高度の相当温位線を見てみると明らかに境目が日本列島に沿って見えてくる(右下の図)。これを見てもう一度850hpの相当温位図を見ると、そこらあたりの風の変わり
目が上空まで伸びて前線を形成しているとのイメージが出てくる。それならこんな風に引いてもいいかと思えてくる。
いつでもこんな手順で引けるわけでもない、南の太平洋の気団とオホーツクの気団の境目がどこかにあるはずだと色々なデータを見比べてやっと引けるような気がしている。こんな風に気象データを眺めるのもこの時期の楽しみでもある。
梅雨の終わりに近づき次第に日本上空のジェット気流が弱まり風も見にくくなってきている。そろそろ 梅雨も明けるということになるのだろう。
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