九州国立博物館で「皇室の名宝」を見る
少し前のことになるが、8月の初め 九州博物館で皇室の宝の展示が行われているというので出かけてみた。皇室の宝ならば3種の神器とは言わないまでも奈良時代以前の宝くらいあるだろうと期待 していたがそんなものはなかった。
9時半頃九州国立博物館に向けて自宅を出発、雨が降りかかっていたが予定通り じきにあがる。野多目から高速に乗るが、入り口までが混んでいる、いつもこうだがなかなか改善されない、兎に角40分後には博物館に到着する。駐車場はそれなりにクルマがいて、建物に入るとコロナ対策は前のままで密にならないように誘導される。切符売り場までくると高齢者の割引は無くなったとある、収入の大半がその年代から得られる展示ということかもしれない、コロナで来場者数は見込めないということもあるのだろう、何とは無しに世知辛い。ちょうど1階フロアに常設展示されている飾り山笠が、今年の天神流れのものに展示替えをしているところだった、こんな高所作業かとちょっと面白い。長いエスカレータを上がって皇室の宝の会場に入る、予想通り高齢者だらけで時々夏休みの子供がいるくらいだ。満員という程でもないが結構入っていて展示に沿って一列でゆっくり眺めながら進んでいく。皇室に献上(寄贈)されたものが最初に出てくる。明治以降のものだが流石と思わせるものばかりだ。とりわけ工芸品が立派で象嵌細工はみごとというほかない。九州にちなんだ品が中心ではあるが十二分に見ごたえがある。
勿論古い美術品も色々ある。小野道風の書もあってじっくり眺めるが言われるほどには立派な書でもないと思ってしまう、説明を見ると下書きだという。却ってそのくらいの方が人間味があってリアルだ。国宝の若冲の絵も何枚もある。若冲の現物をまとめて見るのは初めてかもしれない。確かに巧みに描かれているが、装飾性が強い。ズズメの群れなどの絵を見ても現実とちょっと違うようなところが目についてスケッチをまじめにやっているとも思えない、図案集を見て書いている感じがどうしてもして、工芸品としては勿論一流だが芸術性はいまいちと思えてしまう。同じ国宝でも等伯の松林図屏風などとは比べるべくもない。
考えてみると日本の美術品は工芸的なものが素晴らしくここが特に優れているということかもしれない、実用の中で光る美しさということだろうか。現代のもの造りにつながる伝統を感じてしまう。
それにしても、皇室には例えば天皇家のふるさとは本当はどこなのかといったもっと古代史を解き明かす宝が色々ありそうに思えるがそれは公開されないのだろうか。イギリス王家などより遥かに古い起源をもつ現存世界最古の王家の本当の歴史は世界史的にも貴重で人類で共有さるべきもののように思えてしかたがない。
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