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2021年10月24日 (日)

アクロスの国際会議場で古楽声楽を聴く

  古楽器音楽祭というのが福岡でアクロス福岡を中心に毎年秋に開かれていたが、今年はコロナやアクロスホールの工事でどうなることかと懸念していた。結局、関係者の続けたいという努力のお陰か、赤坂門のアイレフホールなども使ってややこじんまりとではあるが何とか今年もKogaku2021 行われた。アクロスのメインホールは工事中だがアクロス4Fの国際会議場は使えるのでここを使った声楽のコンサートも開かれた。アクロスなら勝手がいいのもあって1つくらいはと、これを聴きに行くことにした。バロックの声楽は通常のクラッシックの声楽とはかなり違う美しさがあるものの聴く機会が少ないだけに、聴いてみたかったというのが勿論ある。。
国際会議場だけに椅子はホールのより立派だが、舞台という格別なものはなくちょっと段が付けてあるだけでシンプルだ。入り口で翻訳付きの歌詞コピーを渡される。随分親切なコンサートだと思うが、始まるとこれがないと何が何だかわからないと解る。バロックのコーラスというと宗教音楽が中心のようKokusaikaigijyo に思ってしまうが、歌詞の内容をを見るとラブソングなどもあり宗教歌では全くない。それでも響きは教会音楽のようなところがあって、知らないで聴くと聖歌と思ってしまいそうだ。
演奏者はラ・フォンテヴェルデという日本のグループでソプラノ、カウンターテナー、テノール、バスという女声1男声3のコーラス、楽器はリュート1本だけというシンプルなものだ。2002年に結成され16-17世紀イタリア声楽をその演目の中心としているという、もう20年近く活動していることになる。国内でこの分野では恐らくトップなのだろう。
コンサートのタイトルは「マドリガードの魅力」とあり、16世紀のイタリア歌曲でしめられている。前半はフランドルの作曲家も含めた当時のはやり歌のような歌曲10曲で後半はより詩と音楽を深めたマレンツィオ作の11曲のイタリア歌曲で構成されている。マドリガードというのはここで演じられるような歌曲のことを指すようだ。
特に説明無しで、間にリュートのソロ演奏も挟みつつも、前半、後半それぞれはぶっつづけで歌い続けられる。

曲目前半は
J.アルカデルト:白く優しい白鳥
C.D.ローレ:別れのとき
O.D.ラッソ:いとしのマトナ ほか
後半は
ルカ・マレンツィオ:
夜の雨後にも見たことはなく
輝く優しい星に告げた
西風が戻り ほか
アンコールは ルカ・マレンツィオ:見るが良い、愛の神よ

イタリア語の歌詞を目で追いながら聴いていくが、フーガの重なりが方々にあってどこを歌っているのか分からなくなったりもする、歌詞そのものが2重3重に前後して重なりそこで生み出される響きが美しさを醸し出しているようで心地いい。特異な歌唱でこんな機会でないとなかなか聞けない気がする、貴重だ。

聞き手にとっても恐らく演奏者にとっても、コロナ時代はこんなコンサートの有難味を特に感じさせてくれるようにも思う。音楽への向き合い方の認識を改めえたような効果はコロナという災害が与えてくれたポジティブな面なのだろう。何事にも全く無駄ということはないようだ。

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