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2021年11月19日 (金)

堀文子の「ホルトの木の下で」という本を暫く読んでいた

たまたま見つけて読み始めた。自伝だ、面白い人生だ。堀文子は全く知らない名前の日本画家だったが、書名のホルトの木というのがちょっとひっかかって開いてみたら少し面白そうなので借りて読みHoruto 始めた。ホルトの木はあとがきになって初めて登場する。晩年、自宅前の屋敷にある樹齢500年にも及ぶホルトの木が屋敷ごと売却されて切り倒されることになったのに怒ってついにその木を土地ごと多額の借金をして買い取った、老後のためとの蓄えもすべて注ぎ込んでしまった、という木にちなんだ書名だった。命に対する尊敬が根本にある。
やりたい放題の彼女の人生を可能にしたのが絵の道だったと読めてくる。人との出会いが新しい展開を次々に生み出していくが、出会いのすべてが絵から発している。
堀文子は42歳で夫を亡くして一人になると3年に及ぶ放浪ともいえる海外への旅を始める、そしてそれはついには言葉は全く話せないイタリア・トスカーナ郊外にアトリエを手に入れそこへ日本から年数回通う生活を70才頃に始めることにまで至る。それは80歳半ばになっても続いている。絵を描くために旅に出るという視点があれば、どこへでも出かけられる、そんな気がする。そこには自由がある。

ちょっと出かけて景色を見てそこでスケッチを始めると、非日常の風景を前に自分の時間が取り戻されていくのを感じたことは自分でも毎度のことだ。絵を描くという行為をもっと突き詰めたかった、そう思い始めてしまう。
堀文子のトスカナ―ナのスケッチを集めた本を借りてきて見ている。ところどころに朱灰色といった色の書き込みがあったりして、ああ時々自分もやるなあと思ってしまう、生々しい。しかしとてもこんなにきっちりは書けない。

どこか羨む気持ちがある、あるがままを受け入れTosukana 水のように生きる、それで十分ではあるが。

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