與那覇潤の平成史を見る
図書館の貸し出し順が回ってきたのでさらさらと読んでみた。同意できない、そうじゃないだろう、と心の中で言い続けた。自分の考えではそう思う、と書くべきところを「そうです。」と確定的事実のように書きまくる。こんなことしかできない人なんだこの與那覇という人は。1979年生まれとあるので平成元年が10歳ということになる、小学生だ。そこから始まる平成史を正しく見ていたのだという書きぶりで断定的に描く、こんな人が跋扈することができるようになったのが平成という時代なのだろう。これが(平成という)昨日の世界のすべてだという表紙カバーの文句にも唖然とする、これは編集者が勝手に書いたものだろうが独善的だ、青 白きインテリが狭い窓から覗き見ている光景が思い浮かぶ。平成という時代はもっと多相な時が流れている、バブル後の失われ続けた何十年かが終わらず、先端を走っていた携帯がスマホに苦も無く駆逐され、ロケットは失敗を続け、科学技術の自信がゆらぎ、原発が爆発し、ネット社会に突入し、巨大地震に次々に見舞われた、そんな平成の太い流れがここには見えない。
そうはいっても、こんな本も受け入れて水のように生きていく他もはやないのだろう。
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