壱岐に行ってみる-その一
6月の上旬頃に新聞広告に壱岐の一泊ツアー、補助金付き、というのがあったのを思い出して、いいかもしれないとネットで探したがうまく見つけられず、しょうがないとしまい込んでいた件の新聞をひっくり返して見つけ出し、電話で申し込んだ。壱岐は歴史的に面白い位置にあり色々巡ってみたいと前から思っていた。書類が送られて来て郵貯口座に代金を振り込む。宿は出発の数日前にやっと来たハガキで壱岐空港近くの民宿とわかる。やや不安があったが今更どうしようもない。福岡ー壱岐間の航空便はとうの昔になくなっており、行きはフェリー便帰りはジェットフォイル便という船の旅だ。船では気象が気になる。毎日気をもみながらGSMデータからの気象予測を図にしてみていたが、予測が安定しない、風は行きが収まってはくるもののやや強い南風で帰りは更に少しは弱まるというあたりで落ち着いてきて、まあ行けそうか、という感じになった。出発の1日前は予想通り台風並みの強風でここに予定があたれば行けなかったかもしれない、うまくできてる。兎に角当日朝8時半過ぎに家を車で出て博多港の駐車場に入れる、もともと市営の駐車場だったものがこの4月から民間に運営が移ったところだ、1泊料金が大幅に引き下げられ1泊800円となっていたので気安くとめられる。船は1800トン、乗客定員678名のきずなというフェリーだ、最終目的地は対馬厳原まで行く。10時出航に合わせ9時半までに乗り場のあたりに集合となっていて、行くと予定表などとともに切符を渡される、帰りの切符はまたその時に渡すという。添乗員にお任せスタイルの旅行だが参加者も30名位と結構多く、ちゃんとやってくれるか気を張っていなければとも思う。
ボーディングデッキが取りつく3階入り口か ら乗り込み船室は2階となっている、家内の重い荷物を下の階に下すには階段がきつい、困っていたら船員が助けてくれた。何とかなるものだ。航行中はおおむね3階のデッキにいて海風に当たりながら外の景色を見ていた。つい2か月くらい前に乗ったクイーンズビートルと似たように暫くは進むので見慣れた光景ではある。と、前方からジェットフォイルが来る。如何にも軽快で速い。帰りも楽しめそうだ。鳥を探すが全く目にすることができない、でもただ海を見ているだけで
なんだか楽しい。
2時間+の船旅で壱岐郷ノ浦港に着く。港地域の食堂貸切での昼食となる、そう大きくもない食堂でのバイキングランチで人の動きがゴチャゴチャするが、しようがない、島だ。それに してもバイキングというのはいつも思うのだが、何を食べたかわからないがお腹一杯になる。壱岐という土地の説明を聞きながら最初に訪れたのは壱岐焼酎の蔵元の一つだ、壱岐の蔵酒造という。壱岐は麦焼酎の発祥の地という、島には蔵元がいくつかある。春一番という言葉も壱岐の漁師言葉に起源があるとい
う、大陸に近いという位置を抜きにしても日本最初が幾つかあるのにはちょっ
と驚く。それにしても古事記に出て くる最初に生まれた八つの島、大八嶋のひとつに壱岐が数えられて
いて、古代から重要な島であったことは間違いない。(大八嶋: 生成順に 淡路島、四国、隠岐島、九州、壱岐、対馬、佐渡島、本州、の八つ)。試飲は潤沢で結構酔ってしまう。確かにおいしい酒だ。
次は島の東端にある左京鼻という景勝地だ。郷ノ浦港からは島を横断しての移動だが、低い山、ゆるい棚田によるこまめな耕作、の似たような景色が続く。山が低くて(最高峰でも213m)使える土地が多い印象を
受ける。左京鼻は広々とした眺めがよく、また直ぐ近くに見える玄武岩柱状節理の
小島もいい。(「観音柱」と呼ばれるらしい
)。島全体に玄武岩が多く、島は溶岩台地のようだ。
山の生き物海の生き物の供養の昔話が伝わる「はらほげ地蔵」を見て一支国博物館を訪れる。壱岐の自給自足は山や海の哺乳類を捕獲し食べて成り立っていた、命を奪わざるをえな いことへの供養の気持ちがあって共存できてきたのだろう。
一支国博物館は原の辻遺跡の出土品が多数展示されているものと思っていたが、そうでもなくカラカミ遺跡の遺物が多いような気もした。原の辻遺跡の出土品を集中して見せる部屋があってもいいのではないかと思える。それ程見せられるものが実はないのかもしれない。
宿は海水浴客を想定したような民宿で、ツアーの宿泊にはちときつい。食事で頑張るということか目いっぱいの夕食が出たがとても食べきれなかった。
宿から歩いて10分以内で大浜海岸に出れる、ここは一級の砂浜だ。いいところだ。夕方の風が心地いい。
長くなるの翌日分は別に書く。
写真は上から、フェリー絆、ジェットフォイル、壱岐焼酎、壱岐は平べったい、左京鼻、はらほげ地蔵、一支国博物館