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2022年8月26日 (金)

九州国立博物館で琉球展を見る

今年は沖縄返還50周年という節目の年ということで、朝ドラをはじめ沖縄の文字があちこちで目に付く。沖縄には何度も遊びに行ったが、いいところだ、暑いがなぜか爽やかな印象が思い出される。今はコロナで旅行に行くのもためらいがある、しょうがない。
太宰府にある九州国立博物館で復帰50年記念の琉球展が9月4日まで開かれていて気になっていたが、そろそろ行かねば終わりそうで出かけた。
コロナで博物館のレストランやカフェは皆クローズしていて、食事をしてから訪れるほかない。以前よりちょっと面倒になっているがこれもしょうがない。Ryukyuu2022
ここは放送大学の学割が効いて入場料は今回は900円引きとなる。こんな割引をいくつか使うと放送大学の学費は実質的には随分と負担が小さい。
中は混んではいないがそれなりに人は入っている、しつこく見る人が目立つ。国宝が幾つもあるがそれとは別におやと思うことがいくつかあって面白い。例えばひらがなだ。中国と冊封関係になる前は文書はひらがなが正式だったことを説明文で知る、驚きだ。ひらがなが確立したのは平安時代10世紀のころだからそれが伝搬したと考えるのが普通だが、日本国内では公文書は漢文そうでない文学的な文書はひらがなという住み分けがされていて琉球国のように公文書までひらがなとするには至っていなかった。琉球の方がより日本的だったということになる。やはり琉球で使われていた言葉を書き写すにはひらがなが最も適していたということなのだろう。本土との文化交流は思っていた以上に古くから密だったように思えてくる。展示場に入ってすぐのところに 梵鐘が展示してある。15世紀に琉球王の尚泰久の命で作られた鐘で万国津梁の鐘と呼ばれているという、日中両国をつなぐ海洋国家琉球の位置づけを漢文で刻んでおり、王国としての気概を示す鐘となっていたようだ。梵鐘製作は梵鐘研究家によれば筑前芦屋の鋳物師によるものと推定されているようで、福岡とゆかりの深い梵鐘ということになるのだろう、こんな風につながっているとは思ってもいなかった。
つらつらみていくと、日本人のルーツに関する展示がないのが気がかりになった。10万年前アフリカを旅Bonsyoryukyu21a だって地球上に拡散していった人類は日本には北、西、南の三方からたどり着いたとされる。南のルートはすなわち沖縄ルートでありここに日本の文化の源の痕跡が残されているはずだ。石垣島では近年2万7千年前の旧石器時代人の全身骨格が10数体発見されておりそんなことも今回の展示で紹介されていても良かったのではないか、そうも感じた。和歌の歴史も南アジアに広がる歌垣の風習が琉球経由で伝わってきた結果なのかもしれない、琉歌があって和歌があったそんなことも考えてしまう。

コロナが収まればまた沖縄に行ってみよう、やっぱりそう思っている。

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