橋幸夫の引退コンサートを聴く
小椋佳のラストコンサートの印象が結構よかったところへ、橋幸夫引退コンサートの新聞広告が目について、大分割引するようでもあるので電話で夢グループというところに申し込んだ。暫くして代引きで「これはチケットです」というA4の紙が送られてきた、コピー用紙のような風情だ。大丈夫だろうかと思ってしまうが、夢グループというのはどこかで聞いたことがある、おかしなことはしないだろう、と公演の日を待つ。
調べると橋幸夫は今年79歳で小椋佳とほぼ同年だ。そういう時期になったのかと感慨がある。
歌謡曲のコンサートというのは殆ど経験がない、どんなものか、 というのも少し興味がある。
当日は13時開演ということで早めの昼食を済ませてバスで会場の福岡市民会館に向かった。程なく開演、まず第1部がスタートする。
夢グループ社長の石田重蔵が司会の役を務める、フーンという感じだ。テレビショッピングのくせのあるセールストークの人として記憶にある。前座は夢グループ社員から新人デビューするという40歳の小牧勇太、テレビショッピングで石田社長の相手役をしている保科友里、という社員の様な歌手がうたう。保科はなかなかうまいがやや凡庸、小牧はプロで生きていくにはちょっときついか、と思ってしまう。とにかくカラオケ大会のようだが、余計な金は使わないという姿勢を感じる。
その後は橋幸夫と石田の対談となる。橋の生い立ちデビューに至る経緯の話がいい。歌手となったのは瓢箪から駒の様な感じがするが、母親は9人兄弟の末っ子の幸夫の歌の才能を見抜いていたようだ。両親が出店した呉服屋の隣の床屋に遠藤実が常連で来ていてその縁で遠藤の歌の塾のようなところに入れてもらったという。その後吉田正にも認められて曲を作ってもらうようになってデビューに至ったようだ。子供の頃は暴れ者で先生も手を焼いていたようで、空手を習っていた、ボクシングもやったともある、親の苦労が伝わる。
第2部で橋の歌になる。潮来笠からで、伴奏は三味線だけだがこれがうまい、津軽三味線の調べだったりもする。2曲歌った後は三味線は退いてまたカラオケになり、ちょっと歌いにくそうにも見えるがそこはプロ、きっちり決める。全体に歌のうまさが際立つ、声もしっかりしていてつやがある、圧倒的だ、引退?と思ってしまう、まだ骨董ではない。コロナもあって仕事が途切れているのか、潮時ということか。先日引退コンサートした時の小椋佳のよれてる様とは段違いだ、まだまだもったいない感に溢れている。
観客はほぼ老人でよたよた歩きの人もいる、若い人は殆んど見かけない。確かに時代は過ぎているようだ。
熱唱が続き開演後2時間45分くらいで終わる。知らない歌も多いが十分満喫した感が残る。
心配した雨は到来せずまた市民会館南からバスでのんびり帰る。なかなか感じるところのあるコンサートだった。もう少し歌のコンサートも聴いてみようか、そんな気になっている。
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