アニーエルノーの「戸外の日記」を読んでみると
ノーベル文学賞受賞のアニーエルノーの著作をいくつか図書館に予約して順番がき次第読んでいるが、今日は「戸外の日記」という作品を読み終えた。これはすらすら読めた。
1990年前後の日記のようで普通の日記とは違って、例えば電車の中でたまたま遭遇した人々の聞こえてきた会話あるいはしぐさなどを書き記した作品だ。勿論著者の感慨も入ってはいるが抑制された表現で情景の写生の様な記述が殆どだ。小説を書くための断片を集めたメモの集まりのようにも思える、結構面白い。その時の社会の雰囲気がそのまま保存されているような気がする。
1990年頃はベルリンの壁が崩壊し、日本ではバブルが崩壊し始め、世の中が崩れるように動いていた時期だ、この時自分は何をし何を見ていただろうとも思う。
今からでも遅くないこんなスケッチの様な文を書いてみようかと思ったりもするが、そういえばこのところ人が雑談している場に居合わせていないという気がしてくる、年齢もあるがコロナの影響が大きいのだろう。人が生きていく過程では何かができやすい時期というものがそれぞれにあるようだ、今は何ができやすいのだろうか、そちらを考えた方がいいような気がしている。きっと何かあるに違いない。
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