The 4 Players Tokyoのランチタイムコンサートが良くて
このところ続けてクラシックのコンサートに出かけている。今度はアクロスのランチタイムコンサートだ。12時から1時間と少し位のコンサートで1000円と随分行きやすいチケットなので結構利用している、メンバーは実力のある奏者が登場して、決しておまけのコンサートではない、おそらく県の補助なんかが出ているのだろうと想像している。今回は The 4 Players Tokyo という弦楽四重奏団だ。 弦楽四重奏そのもののコンサートも生では初めて聴く。
曲はヤナーチェクの弦楽四重奏曲1番、和田薫の弦楽四重奏のための3つの断章、プロコフィエフの弦楽四重奏曲2番 の3曲で 初めにこのグループをプロデュースする指揮者の藤岡幸夫からグループや演奏曲の解説があって入りやすい。BSテレ東土曜朝8時半の番組エンターザミュージックから生まれたグループのようだ。
はじめてお目にかかる曲ばかりで、特に2曲目はアクロスが作曲者に委嘱して今日ここが初演となる作品という、作曲者も来ていて客席で聞いている、すぐ近くの席だ。初演に立ち会うというのも初めての経験だ。
ランチタイムコンサートいうので気楽に出かけてきたがこれはちょっとした聴き物の様だ。
最初の曲は副題が「クロイツェルソナタ」でトルストイの短編「クロイツェルソナタ」に沿って作られているという、ストーリーのある曲の展開だ。チェロとバイオリンの掛け合いがあって会話のようだったり、鋭い展開があって終りがドラマチックになるかと思えばふんわりと終結になる、とか、つくりが面白い感じの曲だ。演奏は、一つ一つの楽器の重みが弦楽合奏よりも遥かに重く、ソロの4重の重なりという感じで一音一音が鮮やかに響く、聴き入ってしまう。こういうことだったのか弦楽四重奏とはと思いを新たにした。これは機会があればなるべく生を聞くようにした方がよいようだ。
次のこれが初演という弦楽四重奏曲は、説明にもあった通り和を思わせる音で、聴いていると琴の六段をどこか思い出してしまう。幼いころ住んでいたのは藤井凡大さんのご両親の家の隣で琴の音や三味線の音が日常に漂っていた、それを思い出していた。音楽を聴くというのは頗る個人的なことかもしれない。
最後のプロコフィエフの2番は、今から思い返すと、激しい曲想が続き体力的によく演奏できるな、さすがプロだと感心しながら聴いていたのは覚えているがさてどんな曲だったかと思ってしまった。こんな時にはyoutubeで探せばこの曲の演奏がどこかにあるのではと、Sergei Prokofiev - String Quartet No. 2 で検索してみる、いくつかヒットするが“Kabardinian”という副題のついたPavel Haas Quartet(チェコ)の演奏のを見てみて驚いた。映像は曲に合わせて楽譜が次々に送られていくのだが、その楽譜を見て実際の生きた音を奏でることがこんなことなのかと思ってしまった、とてもできないというかそんな風に楽譜から読めない、本当にプロの世界だ。
今回の演奏はCD化されないのだろうか、印象深い他では聞けない曲の素晴らしい演奏で、このまま無限の空間に音が飛び去ってしまうだけというのはいかにも惜しい。
それにしても、このThe 4 Players Tokyoというグループはいい、力量というより音楽そのものがいい、素直にそう思う。次はいつその演奏に触れられるだろうか。
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