福岡市美術館でミュシャ展を見てジャポニズムを感じる
5月は少し気になる展示がいくつもあって、見なくっちゃと思っているうちに会期末が迫ってくる、今日は最後の福岡市美術館で開かれているミュシャ展を何とか見に行った。今回の展示は膨大なミュシャ作品を所有するチェコのチマル博士のコレクションから厳選したものの巡回展という。
ミュシャというとクリムトの頃の画家というくらいの時代認識しかなかった、確かにそうだがクリムトとは道が少し違ったようだ。年代を追うと、ミュシャは挿絵で生業を立てつつ あった頃の1894年、女優サラベルナールを描いたポスター「ジスモンダ」で一気ににそのスタイルを確立してブレークしている。展示されている「ジスモンダ」を見るとその太い外形線にはどうしても日本の浮世絵の影響を感じてしまう(左図)。ついこの間九州国立博物館のガレ展で見たエミール・ガレのこの頃のガラス作品にも日本の伊万里焼の影響が濃い作品が展示されていたのを思い出した(右下図)。ジャポニズムという当時の文化的風潮が新しい芸術運動の核心部にあったことをあらわしているように思えてしまう。アールヌーボーの時代とはそういうことだったのだ。
ミュシャの作品の多くはリトグラフで印刷されたものだが、19世紀末から20世紀初めの時代にこれほどカラフルな印刷物が世間に流通していたことにも驚きを覚える、ハーフトーンを含めて発色がよく今の時代にも退色していない。
絵画を芸術という象牙の塔から広くあらゆるところに解放していく、そういう動きを切り開いていったミュシャという人、多才 という言葉だけではとてもカバーできない大きなインパクトを後世に与えているようだ。見れてよかった。
生きていて見れること感じれることには限りがある、でも、見たいものは見、知りたいことは知り、水のように自由な時間を過ごしていきたい、そればかりを思うこの頃だ。
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