ノーベル文学賞受賞者ヨン・フォッセの「だれか、来る」を読んでみる
ノーベル賞の季節だ。2日前テレビをぼんやり見ていたら文学賞の発表が速報で流されて今年の受賞者はヨン・フォッセと報じる。全く聞いたことのない人だ。どうも劇作家らしい、とにかく何か読んでみたいものだと市立図書館を検索する、1件だけ引っかかったが、もうすでに予約が入っていて3番目だすぐには来ない、それにインタビュー記事のようで作品でもないようだ。それではと代表作の一つとしてwikiなどに出てくる「だれか、来る」の載っている雑誌はないものかとグーグル検索してみると、見つかった。舞台芸術 という京都造形芸術大学舞台芸術研究センターが出している雑誌の05号に全文が掲載されていることがわかる。これこれとこの雑誌を市立図書館の蔵書で探すと、この05号が1冊だけ見つかった、すぐに予約する、待ちはない。1日置いて今朝 一番でネットで調べると近くの図書館に届いているとわかる、便利な世の中になった。午前中に借り出してさっそく読んでみる。
詩のような短い言葉のやりとりだけで構成されていて37ページくらいなのでそれほど時間をかけずに読んでしまえる。「小説は言葉が多くなる。言葉の向こうにある世界を書きたかった」というヨン・フォッセの言葉がこの雑誌の主宰者である太田省吾によって紹介されているが、まさにそのような、通常の戯曲からコアの部分だけを取り出したような作品だ。登場人物は3人、彼、彼女、男 と書かれ名前はない、場面も海辺の家の外と内でほぼ同じ、それでいて直接的リアリティがある。要約することが難しい。1996年オスロで初演だから最新の、とは言えないが、新しい。
でも、これがノーベル賞!、というのが偽らざる最初の印象だ。舞台を観なければとも思う。日本初演は太田省吾によって2004年になされており、今後も注意していれば観る機会を見つけることもあるだろう。
ボブディランやこのヨン・フォッセが受賞する時代だ、村上春樹はなかなかかな、そんなことも感じてしまった。面白い時代だ。
| 固定リンク
コメント