12月8日の師走の街でブラームスのドイツレクイエムを聴くーー戦さの時代を思う
2023年も終わりに近づいてき た。せわしい12月ではあるがクラシックのステージにはなるだけ接したいと、アクロスで九州交響楽団と九州合唱団他によるブラームスのドイツレクイエムを聴きに行った。第九と似たような構成だ、共通するものがあるかなと思っていたが聴いてみると全く違っていた。これは宗教音楽だ、そう思う。19時開始なので食事も天神で早めに済ませたが、まだ時間があってあたりのイルミネーションを見て回った。アクロスのス
テップガーデンと屋上をつなぐイルミネーションが有料ではあるがかなり良さそうなので入りかけたが18時までは入場不可とあり、コンサート開始の19時に近過ぎるとわかりあきらめた。しかしアクロス横の天神中央公園から中ノ島に至る一帯のイルミネーションも結構華やかでこれを見ながら歩き回ってみた、なかなかいい。コロナ明けということもあるのだろう、見たことのないくらい華やいでいる。
演奏開始時間に合わせてコンサートホールに入る。合唱隊が入場した後オーケストラが入ってくるのだが、合唱隊の人数がオーケストラの3倍近くある感じだ、厚い。ざっと数えてみると女性ボーカル90名位男声ボーカル80名位、オーケストラ65名位のようだ。演奏が始まると第九とは違ってはなから合唱が入る、ずーと最後まで合唱が続き合唱中心の曲だと感じる。オーケストラはコーラスの伴奏というのではなく並走という感じで並奏と表記すると感じが出る気がしてしまう。配られた冊子に歌詞がドイツ語と日本語訳併記で示されていて聴きながらそれを薄暗い照明の光で追っていく。確かにこれは鎮魂歌だ、頗る宗教臭い、言ってみればお経に曲を付けて歌っているようなものだ、と、のめりこむということができない。今日は12/8という開戦の日だ、これに合わせた企画かもしれないとも気づく。また戦の時代に向かっているような時代の雰囲気を、それは死しかもたらさないことに気付かせてくれるようでもある。
後で調べるとブラームスのドイツレクイエムは宗教臭の少ない部類に入るものだとされているようで、これでも少ない方かと改めて宗教というものの息苦しさに思いを致してしまう。
演奏そのものは音楽として立派だ、歌詞を傍らに置けばずっと聞いていてもいいかもしれないと思えてくる、1時間半近い演奏が終わっても何か途中で終わったような気さえしてしまう。
色々考えさせてくれるコンサートだった、確かに年の終わりにふさわしい時間を過ごした感じがしている。
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