ホタルは非日常に満ちていて

筑豊にある 香春岳は全山石灰岩の山で戦前からセメントの原料として削られてきた。そびえていた主峰一の岳は映画「青春の門」に撮られたころまでは未だ一応山の形があったがもはや見る影もない。香春は先祖代々の地でもありこの山については調べなくてはと常々思っていたが思うに任せず、手始めに引っかかっていた香春岳の採銅所を少し調べてみた、奈良の大仏の銅はここからきているという言い伝えをどこかで聞いていた。郷土史誌「かわら」の採銅所特集号など読んでみたが、奈良の大仏の銅に香春の銅が使われたことは当時の状況からそうとしか考えられないがきっぱりした書き物があるというわけでもないようだ。しかし東大寺の記録である「東大寺要録」には大仏の銅には西海の銅を使ったとあり、当時の西海は九州のことを指すと考えるのが順当と思われる(当時の行政区分である西海道は筑前豊前他九州島内の九国及び壱岐対馬のことであった)。香春は豊前国に属しており、当時有力な銅山であった香春の銅が使われたと解するのが普通の読み方なのだと思われる。いずれにせよ大仏には500トンもの銅が使われており、当時の国内の有力な銅山はすべからく銅を大仏に提供したと考えるべきで、香春の銅と同じ香春岳/平尾台/秋吉台とつながる石灰岩層に熱水が貫入してできたスカルン鉱床である長登銅山を含めた多くの銅山からの銅が使われたと思うのが順当なのだろう。
平家によって大仏殿は破壊され大仏も一部を残して溶けてしまったようだがそれを2度までも復元した先人の熱意には驚くべきものがある。それにしても8世紀によくもこれだけのものを国内で製造しえたのだと思う。55年位前に大学で工学を学んだ時にこれを取り上げて講義で語っていた教授がいたのを薄っすらと思い出す、当時の最先端技術の結集だったようだ。
まだまだ調べてみなくてはな、そんなことを思っている。
梅雨が本格化して猶のこと出不精になってきた。
庭の植物がこの季節になるとやたら元気になる。梅は大粒の実を例年になく数多くつけてちぎっては梅酒にしたり梅ジャムにしたり梅ジュースにしたり梅干しにしたりの日々がしばらく続いていたが、もう一段落だ。サツキツツジの花も嵐のように咲き誇っていたのが今は1-2輪だ。裏庭ではアジサイの花達がまだまだ元気で、ギボウシがこれに加わり裏庭は今が華やかだがそろそろ収束に向かいそうだ。背の高い植物が茂ると割を食う植物もあって裏のモミジが勢い良くなったせいで下に生えてる少し弱めの草類は元気を失ったりしている。いつもいい花を咲かせていた黄エビネはここ数年花を見ないしキンシバイに至っては今年はバッサリ枯れてしまった、茂ったモミジのせいで日が差さない上に雨が遮られるようになったことが原因だろうと思っている。キンシバイはしょうがないので買ってくればいいかと近くのホームセンターや園芸店をあたったがいずれも置いてなくて、通販で買った。送料は結構かかるがとにかく手に入るのでこんな時通販にあるのはありがたい。
今気にしているのは表のレモンの木の実だ。初めて実をつけている。今までは花は咲いても実は付けなかったので今年は人工授精のように雄蕊の花粉をめしべにこすりつけたりしたのが良かったのかもしれない。とにかく花が終わった後に3つ実のようなものが残っていた。ちょっと近いのが気になっていたがやはり3つは無理だったようで一つ落ち2つ落ちと今は一つだけが残って太り始めている。上向けに実がなっている、こういう実のつけ方とは思わなかった。普通のミカン類は勿論下に実をたらす。最後までこうなのかいつかは下向くのか、そう思って毎日見るのも面白い、頑張れと言いたくもなる。
宇宙を漂う奇跡の星地球の上に命を得たいきもの同士の連帯感を感じながら 生き物に囲まれて時を過ごせる日々は幸せというものなのだろう。
近頃パソコンをいじっていてああもう来年夏にはWin10も終わりか、セキュリティー強化やアプリの高度化に対処するとこうなっていくのかと思いつつ、どうしようかと悩んでいたところへ突然Yahooマップが表示されなくなった。じわじわきてるな、と思ってしまう。EdgeとChrome どちらもだ。これとは別にスマホのpaypayがAndroid7.0のバージョンはサポートしない、Android8.0にアップデートするよう警告が表示されるようになった、このスマホ機種ではこれはできない、買い替えろと言っているようなものだ、ちょっと嫌になってpaypayを使うのをやめてこのところD払いを使うようにしている、やはり国産品愛用に傾く。ともかくソフトの曲がり角に来たような気にしてくれる、しのぐだけしのぎたい。
Yahooマップの方は色々試していくとFirefoxならとりあえず表示できること分かり、これでやってみるかと落ち着いたが、どうにもFirefoxは慣れない、何とかEdge やChromeで表示できる方法はないかとネットで調べていくと、できる方法が見つかった。グラフィックス アクセラレータの使用を不可とする設定に変えればマップが表示できるようになるというのだ。具体的にはEdgeでは 設定->システムとパフォーマンス と進んで「使用可能な場合はグラフィックス アクセラレータを使用する」がONになっているのをOFFに変える、Chromeでは 設定->システムと進んで「グラフィックアクセラレーションが使用可能な場合は使用する」がONになっているのをOFFに変える その後各ブラウザを再起動する という手順だ。グラフィッ クス アクセラレータはONになってると動画が滑らかになるというのだがOFFにしてWowowやNHK+の動画を見る限りでは特段変わった感じもしない、大した影響はないということのようだ。Yahooのマップは確かに表示されるようになる。めでたしだが、なんだかなあ、という感じがぬぐえない、もっと親切にYahooから対処法が示されてもいいのにそれは全くなくてユーザーの情報交換でやっとやり方が明らかになる、というのではユーザーを小馬鹿にしているような雰囲気を感じてしまう、もうPaypayやらYahooやら使わないで済む生き方を探していくほかないのだろう。独占は壊されなければならないところに行きつくのだろう。
6/7の九響の定期演奏会にまた聴きに行ったのだが、あまり真面目に出演者や演目を見ていなかった、廣津留すみれという女性ヴァイオリニストの演奏が目玉の一つだったが、まったくどういう人か知らずフーンという位だった。聞いてみてちょっと驚いた。オケの音と響きあうというより溶け込むように受け渡しして音楽を作っている。音自体もオケに負けない大きさで楽器を鳴らしている。ヴァイオリン協奏曲というとどちらかというと凄みのあるオケがヴァイ オリンに襲い掛かるイメージがあるのだが、これはそうでは全くない、対等で鳥が鳴きかわすように響きあっている。自分自身にこんなもんだよなーといって聞かせても自分自身が納得しない、これは聞いたことがないんじゃないか?、そう返してしまう。独奏ヴァイオリンは楽譜を見ないで演奏するというのは当たり前のことのようだが、それを普通以上に意識してしまう、音楽にはまって音楽の中に漂いながら演奏する、それが、またみんなこんなだったっけ、と思うほどにはまっている。
戻って廣津留すみれという人のことをネットで調べる、とんでもない人のようだ。でも、なんだかわかる、押していけば新しい世界が開ける、若さとはそういうものだった、自分自身のそのころの感触を思い返す。
会場で売られていたCDを買えばサインがもらえたのに、と今さらのように残念に思う。聴けただけでも良かったそう思うべきなのだろう。
この日の演目は
1.リスト/交響詩「レ・プレリュード」
2.ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲 第1番 ト短調 作品26
3.フランク/交響曲 ニ短調
九州交響楽団 指揮 キンボー・イシイ
独奏ヴァイオリン(ブルッフ/ヴァイオリン協奏曲) 廣津留 すみれ
アクロス福岡・シンフォニーホール