ポール・オースターの「ガラスの街」を読んでみる
先月の初め頃Newsweekを読んでいたら、アメリカの作家ポール・オースターががんで亡くなったという記事に遭遇した。これは読んだ方がいいかもしれないと直感的に感じた。ポール・オースターという人は全く知らなかったが、いったいどういう作家なのだろうと図書館に「ガラスの街」という作品があるとわかったので早速予約を入れて借り出した。240ページ位の文庫本なので、まあ読める。
読むと最後に私という視点が出てくるがさらにポール・オースターという名前の作家が登場し主人公であるクインはポール・オースターという名前をかたって依頼人の依頼を受けるとい う不思議ないれこ構造になっている、作家本人の名前が物語のキーにもなっているというところが面白くて、何なんだこれはと思ってしまう。ニューヨークの街で繰り広げられる解決されない、されることに意味がないミステリーという仕立てだが、枝葉のように書き込まれているニューヨークの街角の連なり、締まりのない会話全体が経験したことのない読後感をもたらす。確かにこれは特別だ、読まないとわからない。知らない世界を少しでも開きたい、そんな気持ちに図らずも答えてくれる作家のような気もしている。ニューヨーク三部作の一つがこのガラスの街だが他の2つも読んでみようという気になっている。
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